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手指衛生
個人防護具
個室隔離・解除・面会
物品管理・消毒・滅菌
廃棄
環境整備・清掃
看護ケア・処置
職員教育・ICT活動
職業感染対策・予防接種
就業
在宅指導・家族指導
インフルエンザ・鳥インフルエンザ
その他
 

手指衛生

Q.固形石けん、液体石けん、泡石けんのうち、最も汚れが落ちやすいのはどのタイプの石鹸でしょうか。
A.一般に固形石鹸の方が、純石鹸成分が多く洗浄力が高いと言われていますが、液体石鹸も泡石鹸も十分泡立つ量を使用すれば洗浄力は変わりないと考えます。いずれの石けんを使用する場合でも、適切な手技で15秒以上時間をかけて、洗い残しがないようにすることが重要です。
ただし、医療施設であれば固形石鹸は勧められません。固形石けん自体や、石けん置きの容器に水分を含んだ液体がたまり、微生物の温床になり交差感染のリスクが高まるからです。これまでに、細菌で汚染された液体石けんからの医療関連感染のアウトブレイクの報告があります。医療施設で使用する手洗い石けんについては、使い捨てボトルの液体石けんまたは泡石鹸を選択することを勧めます。
 

Q.泡状の石鹸はどの程度の量または何プッシュしたらよいのでしょうか。
A.2002年発行の医療現場における手指衛生のためのCDCガイドラインでは「石鹸と水で手を洗うときには、まず、手を水に濡らし、メーカーの支持する量の製品を手にとり、両手指の全表面に製品が行き渡るようにして最低15秒間両手を激しくこすり合わせる。手を水ですすぎ、ディスポーザブルタオルで拭く。蛇口を閉めるときには、タオルで蛇口をおさえて閉める」とあります。2009年発行のWHO医療における手指衛生ガイドラインでも同様の記載がされています。
手洗いに必要な石鹸の量は、手の爪先から指の間、手首までの全表面に行き渡る量が必要となります。手の大きさや、薬剤により1プッシュで排出される量も異なりますので、一概に何プッシュとはいえません。手に十分にいきわたる量の石けんを手のひらにうけてから手洗いを行ってください。
 

Q.手荒れがひどく、アルコールがしみるので手指消毒が苦痛です。手袋を二重にして、上の手袋だけ交換してはいけませんか。
A. 手荒れにより皮膚上の菌叢も変化し、ブドウ球菌やグラム陰性桿菌の定着がより頻繁に起こるようになります。 手荒れをしないように日頃からスキンケアを行いましょう。 手荒れがひどい場合は、皮膚科を受診されることをお勧めします。
ピンホールや使用後の手袋を外すときに手が汚染されることも考えられますので、手袋をはずした後も手指衛生が必要となります。
手袋の上からアルコール消毒を使用しても効果がありません。
また、手袋を変質・劣化させ、ピンホールを作ってしまうなどによって、個人防護具としての機能が低下してしまいます。
以上のことから、手袋を二重にしても使用後は二枚とも外して手指衛生を行う必要があります。アルコールが使用できない場合には、石鹸と流水による手洗いを行うようにして下さい。
 

Q. ESBL産生菌保菌者あるいは疑いの患者がいる場合、標準予防策、接触予防策はいつまで継続する必要がありますか?
A.標準予防策は感染の有無に関わらず、すべての患者(人)を対象として行われる予防策です。
接触予防策のような感染経路別予防策は、感染経路別予防策が必要な病原体が定着または感染が疑われる時点から行う必要があります。そして、感染経路別予防策の解除は、病原菌が陰性であることを確認してから行う必要があります。
ESBL産生菌のような薬剤耐性菌の場合は、検出された部位からの菌の陰性化を1週間以上の間隔をあけ2回以上確認した後に接触予防策を中止する施設が多いようです。
 

Q.神疾患病院では擦式アルコール製剤の設置場所が限られます。携帯用は高くて導入できません。対応方法を教えて下さい。
A.費用がかかるかも知れませんが、携帯型擦式アルコール製剤をお奨めします。
何らかの感染のアウトブレイクが起こった際には、収束までに多額の費用がかかると考えられます。 感染予防のために導入を検討していただきたいと考えます。
導入が困難な場合、こまめに石鹸と流水による手洗いを行うようにして下さい。
 

個人防護具

Q. 採血をする時に、手袋をつける必要があるのでしょうか。
A.採血時は、医療従事者の血液曝露と医療従事者から患者への微生物の伝播防止のために手袋着用が必要です。
採血時には眼に見えない程度の血液飛散や穿刺部位の出血などにより手袋に血液が付着している可能性があります。手袋を交換しないままで次の患者の採血を行うと前の患者の血液で汚染させてしまう可能性があるので、患者毎に交換する必要があります。
手袋の上から擦式アルコール剤で消毒を行っても微生物は手袋表面から除去されません。
 

Q. 洗髪や手浴を行う際、手袋は必要でしょうか。
A.標準予防策が基本ですので、正常な皮膚の場合は手袋の着用は必要ないと考えられますが、対象患者の皮膚などの状態によっては手袋を着用する必要があります。また、皮脂の汚れや爪などによる損傷なども考えられるため、手袋を着用したほうが望ましいと考えます。
 

Q. リハビリ室で患者に使用する枕カバーは患者ごとに交換したほうが良いのでしょうか。
A.リハビリ室は患者と密に接することが多く、これらの器具を介して感染が伝播する可能性があります。患者の肌に直接触れたものは、1患者ごとにカバーを交換する必要があります。また、リハビリのような短時間の接触での枕カバーの交換が難しい場合には拭ける素材を選択するか、ディスポーザブルのカバーを患者ごとに交換するなど、各施設で検討してみて下さい。
 

Q. N95マスクは毎回交換しなくていいと聞いたことがありますが、実際はどうなのでしょうか。
A.結核は空気感染の経路だけなので、結核患者の場合はN95マスクに結核菌が付着することがないので、毎回交換しなくても良いと思います。
肉眼的な汚れや破損、水で濡れていなければ、汚染しないように個人ごとにビニール袋にいれて保管します。 接触感染も考えられる麻疹や水痘の患者に使用した場合は再使用しないようにしましょう。
 

Q. 接触感染予防策を行っている病室でおむつ交換をした後に、病室を出るときにマスクを捨てるべきでしょうか。また、マスク着用時間はどのくらいでしょうか。
A.病室を退室後、マスクの継続が必要でない場合や肉眼的に汚染した場合は病室を出るときに廃棄します。マスクは処置ごとに使い捨てることが望ましいでしょう。サージカルマスクは濡れると空気がフィルターを通過しにくくなりますので、濡れたら交換することが望ましいでしょう。
 

Q. サージカルマスクにガーゼを入れているのですが必要ですか。
A.サージカルマスクは、着用者の呼気からでるしぶきの飛散や、着用者の鼻や口の粘膜や皮膚へ他者のしぶきがかからないようにするために使用します。サージカルマスク着用にあたっては、ノーズピースやプリーツ部分を調整し、できる限り顔へのフィット性を高めるようにして着用します。
ガーゼをマスクの中に入れることは、マスクからガーゼがはみ出したり、フィット性が低くなる可能性があります。また、呼気による湿気でフィルターの効力が減少するため、濡れたり汚れたりしたマスクは着けたままにせずに、交換することを薦めます。
 

Q. MRSA、VREなどの薬剤耐性菌感染者の病室に入室する際、マスク着用は必要ですか。
A.MRSA、VREは接触感染予防策が必要となりますので、マスクの必要はありません。しかし、咳嗽による飛沫がある場合や吸引の処置を行う場合などは、標準予防策としてのマスク着用が必要となります。
 

Q. 結核疑いの患者を搬送する場合、N95マスクを装着する必要性があるのはどの範囲の人まででしょうか。
A.N95マスクの装着場面は患者の病室に入るとき、診療・看護にあたるとき、結核が疑われる患者の気管支鏡検査や採痰指導、喀痰誘発や吸引等の飛沫をあびる処置を行うときに着用します。
患者には必ずサージカルマスクを装着してもらい、エレベーターや搬送中の車内では原則として病室に収容されている場合と同様の感染対策が必要です。また、搬送中は他の患者や面会者などがエレベーターを同時に使用することがないような使用方法について、配慮する必要があります。自家用車で行く場合、密閉された空間に同室することになりますので、患者にはサージカルマスクを装着してもらい、同乗者はN95マスクを着用します。可能であれば窓を開けて移動されることをお勧めします。
N95マスク着用時は、毎回、ユーザーシールチェック(マスクが十分開いているか、鼻当てがきちんと密着しているかを確認し、両手でマスクを完全に覆うようにして息を吸ったり吐いたりしてマスクと顔の間に隙間が無いかチェックする。)を実施し、適正な着用を確認します。
家族や搬送車の運転手などは医療従事者ではありませんので、適切な装着の指導も必要です。
 

Q. 面会家族にマスクの着用をお願いしています。しかし認知症専門病院であるため働いているスタッフには、ご利用者に顔が分かるように極力マスクはしていません。ご家族にだけマスクの着用をしてもらうの?という思いもあります。外からの感染を病院内に持ち込まないためのマスク着用の依頼ならば、ご家族のマスクは不要かなとも思い、むしろ面会時の手洗いの方が接触感染防止のために必要かなと思うのですがいかがでしょうか。
A.面会者のご家族には、年間を通してマスクの着用を勧めていらっしゃるのでしょうか?インフルエンザなどの流行時期であればマスクの着用をお勧めするのは有効な対策だと考えます。しかし、マスクを着用していても手指が汚染されていれば外からの感染を防ぐことはできません。目的が外からの感染を持ち込まないことであれば、手指衛生の実施が重要だと考えます。それに加えて、咳などの症状がある場合や身近にそのような症状の人がいるが、どうしても面会が必要な場合にマスクの着用を促す方が良いと考えます。もちろん、そのような状態の際は面会を控えていただくことが必要です。
 

Q. 布製の予防衣を使用していますが、ディスポーザブルのビニールエプロンへの移行が必要でしょうか。
A.薬剤耐性菌は乾燥環境表面でも長期間生存します。そのことから、予防衣に付着して患者から患者へ伝播させるリスクがあります。そのために、湿性生体物質取り扱い時と耐性菌検出患者接触時には布製の予防衣ではなく、防水性のある使い捨てのビニールエプロンを使用することが必要です。
布製の予防衣は一見、自分の白衣を防護しているように見えますが防水性もなく、装着していても白衣が汚染されている可能性が高いです。布製の予防衣を使用する場合は、処置ごとに交換し、熱水消毒が必要となります。そのランニングコストを考えれば、コスト面でもビニールエプロンの方が有用であると考えます。
 

Q. MRSAやESBL、緑膿菌感染者の部屋でバイタルサイン測定をする時は個人防護具はどのようにしたらよいでしょうか。現在はガウン・マスク・手袋をしています。ガウンは1週間交換をしています。ガウンは毎日交換した方が良いのでしょうか。また、オムツ交換ではビニールエプロンをしています。バイタルサイン測定でも、ビニールエプロンの着用でもいいのでしょうか。
A.耐性菌保菌(MRSA・ESBL・緑膿菌等)患者であっても、患者やその周囲環境に接触する時は常に個人防護具(手袋・ビニールエプロン・ガウン)装着の必要があります。理由として、耐性菌検出もしくは保菌者の場合は患者のみならず、周辺の環境にも細菌付着の可能性があり、他患者へ伝播を防ぐためにも個人防護具装着は不可欠です。病室や部屋に入室する際は、入室前に装着し退室する前に破棄できる場所の整備と、感染性廃棄ボックス設置の整備が必要となります。
また、患者に触れる前・触れた後、患者周囲環境に触れた後、手袋を外した後には必ず手指消毒(速乾式アルコール製剤)遵守もお願いします。ガウンも一週間で交換とのことですが、目には見えなくても汚染している可能性が高いため単回使用が望まれます。素材は防水性、非透過性のビニールエプロンが良いです。もし現在布製の物を使用されているなら、切り替えの検討をお願いします。オムツ交換時のビニールエプロン装着は問題ありません。
 

Q. 喀痰吸引時に目の粘膜より感染を起こしたという事例はありますか。
A.喀痰・気管内分泌物・唾液は様々な細菌やウイルスを含んでいます。また、吸引刺激により出血し喀痰に血液が含まれる場合もあります。目に細菌やウイルスが付着し、目が感染症を引き起こすことを懸念しているのではなく、目の粘膜を介して細菌やウイルスが体内に侵入する事を防ぐ目的でゴーグルやフェイスシールドを装着します。粘膜が常に解放された状態である目を保護することは標準予防策の基本です。耐性菌やウイルスが検出されたかどうかを重視するのでははなく、どの患者さんの場合にも、飛沫が発生する処置やケアの際は積極的なゴーグル・フェイスシールドの装着をお勧めします。
 

個室隔離・解除・面会

Q. 帯状疱疹の患者の病室について、個室隔離をするか多床室で管理するかで意見が分かれています。どのように対応すればよいでしょうか。
A.帯状疱疹は水痘-帯状疱疹ウイルスによって起こり、水痘に罹患したことがある場合や水痘ワクチンを接種したことがある場合に、知覚神経節にウイルスが潜伏し、細胞性免疫が低下したときに再活性化して発症します。帯状疱疹の感染対策は病巣が限局しているか、播種性であるかによって異なります。限局している場合であれば、水疱部分を被覆し標準予防策に接触感染予防策を追加、徹底することで多床室での対応が可能と考えます。ただし、播種性の帯状疱疹であれば空気感染により、水痘の罹患がない方など、水痘帯状疱疹ウイルスの抗体を保有していない方へ感染させる恐れがあります。
従って、そのような患者または医療従事者がいる場合には、個室隔離のうえで標準予防策に空気感染予防策、接触感染予防策を追加し実施する必要があると考えます。
水痘の抗体保有率については、2001年にある医療機関で実施された調査で、新入の医療従事者271名(男性143名、女性128名)のうち、男性4.5%、女性4.1%が抗体陰性であったという結果が報告されています。 水痘の抗体保有率は高いものの、一定の割合で抗体を保有していない人がいる可能性が考えられると思います。
 

Q. 半年以上前にMRSAやVREなどの薬剤耐性菌に感染していた人が入院した場合の対応はどのようにすれば良いでしょうか。
A.多剤耐性菌の経路別予防策の期間は未確定となっており、隔離基準については、施設によって異なるのが現状です。また、時間をあけて再検査を行ったり、3回陰性であっても保菌の可能性があります。
入院による体力の低下や抗菌薬の使用により耐性菌が再発する可能性は否定できませんので、患者の全身状態に注意しながら判断する必要があります。日常の手洗いの徹底を指導し、医療従事者は標準予防策を遵守しましょう。
 

Q. 耐性菌を保菌している人が介護施設への入所を希望されています。個室が準備できないのですがどのような対応をとれば良いでしょうか。
A.耐性菌の種類によりますが、ほとんどが接触感染予防策の対応になります。隔離予防のためのCDCガイドラインの中で「多床室での対応は、ベッドとベッドの間隔を3フィート(91.44 cm)以上離すこと、ケアを行う際、患者または患者の環境の汚染されている可能性のある区域との接触する場合、ガウンと手袋を装着する。」とあります。
このことに留意し、以下の対策が必要となります。
1. 使用する物品は可能な限り患者専用とし、専用にできない場合には使用ごとに、消毒薬含浸のクロスなどで清拭消毒を行う。
2. 患者・医療従事者がよく触れる高頻度接触面を中心に、1日1回以上、消毒薬含浸のクロスなどで消毒薬での清拭・清掃を行う。
3. 咳があり飛沫が飛散するする可能性がある場合はベッド間にカーテンを引く。
4.患者に触れた後はアルコール性擦式手指消毒剤で手を消毒するか、石鹸と流水での手洗いを行う。
 

Q. 尿からESBL産生菌が検出されている場合、隔離の必要がありますか。
A.尿からのESBL産生菌検出ということは、感染を起こすものは尿ということになりますので、接触予防策が必要です。尿により日常的に環境を汚染するような状態であれば隔離が必要となりますが、排尿時に尿汚染を起こさないようにすれば隔離の必要はありません。とはいえ、腸内細菌群は健常者でも容易に感染を起こすため、排菌状態により個室隔離やコホートが望ましいでしょう。排泄が自立している患者は、本人へ手洗いの徹底や環境汚染の配慮などの指導を行って下さい。尿器を使用するならば個人専用にして下さい。オムツならば交換時にエプロン、手袋を装着し接触予防策を徹底して下さい。バルンカテーテル留置中ならば、尿廃棄時の汚染に十分注意し、不必要な蓄尿はやめましょう。
 

Q. Clostridium difficileでtoxin陰性、抗原陽性の場合、隔離が必要でしょうか。
A.Clostridium difficileはtoxinを産生する有毒株とtoxin産生性のない無毒株とに分けられます。 無毒株には病原性はありません。ディフィシル菌抗原(glutamate dehydrogenase : GDH)陽性だけであれば感染の危険は低いと言われますが、迅速キットの感度が低いものもあるため、抗菌薬の使用状況、腹痛や下痢症状の有無、内視鏡的な所見など総合的に判断し、接触予防策を実施することも必要となります。
また、抗菌薬の使用により、大腸菌の正常細菌叢が攪乱され、菌が異常増殖し、toxin産生に至ることがありますので、抗菌薬使用時は下痢などの症状に注意が必要です。
 

Q. 単科の精神科病院です。色々な施設を回ってこられる認知症高齢者が多くターミナルまで看取るケースが殆どです。高熱があったり痰が非常に多い患者には痰培養検査をしていますが、MRSAが検出された場合、隔離してガウンテクニックと3日間のバクトロバン軟膏処置を行っています。その後 定期検査として月1回痰培養検査をして いますが、結果がマイナスの場合、1週間後に鼻粘膜、そのまた1週間後に眼脂培養という手順で行っています。すべてがマイナスになった時に隔離解除としていますが、このような検査間隔が適切なのかエビデンスははっきりしていません。どのように考えたら良いでしょうか。
A.耐性菌検出の有無にかかわらず、発熱・咳などの臨床症状や感染兆候を疑う場合は、適切な検査や治療が必要となります。ムピロシン(バクトロバン®)軟膏での除菌に対し、CDCの医療現場における多剤耐性菌対策では、「除菌は日常的に推奨されない。MRSAの除菌は、集団感染の場合や高い感染率が認められる場合に限定する。」とされています。また、除菌効果は持続するものではありません。その後の検査で陰性であっても保菌の可能性があります。侵襲的治療が少ない施設での感染伝 搬リスクは少ないと考えられるため、日常的に患者への手洗い徹底の指導と医療従事者は標準予防策を遵守しましょう。個室隔離の基準については、施設によって異なっているのが現状です。
 MRSA保菌・感染症患者の隔離基準の考え方として、
 ①MRSA腸炎患者 
 ②気管切開や気管内挿管患者 
 ③広範囲の皮膚病変・熱傷・褥瘡のある患者 
 ④便に保菌し排便コントロールが困難な患者
等が挙げられます。
MRSA検出部位を把握した上で、処置やケアを考慮し、周囲に感染が拡大しないようアセスメントし対応していく必要があります。隔離解除基準については、オランダのMRSAガイドラインでは「7日間隔の培養検査で少なくとも3回陰性」を個室隔離解除基準と定めています。オランダではMRSA検 出率が1%未満であることからMRSAの封じ込めに成功していると判断できます。しかし、MRSA検出率が高い日本の現状では、隔離解除基準を設けることは難しいと考えられ、この方法を適応している施設もありますが、自施設に応じた隔離解除を検討していただくことが望ましいと考えます。
 

Q. 精神科の病院です。皮膚科外来で通 常疥癬と診断された入院中の認知症のご高齢患者様がいらっしゃいますが、隔離や掃除の方法にどのような注意が必要でしょうか。最近の情報では通常 疥癬は特別な対策は不要で薬の治療を適切に、とありますが、隔離や掃除など注意点がありましたら教えて下さい。
A.疥癬に対する感染対策は、原因となるヒゼンダニの寄生数によって違います。通常疥癬の症例ではヒゼンダニの寄生数が少ないことから感染力は低く、角化型疥癬のように個室隔離を含めた接触感染対策は不要とさ れており、隔離は不要で、清掃も通常の方法でかまいません。ただし、長時間の接触が必要なケアの際には、手袋の着用が必要と考えられます。また、リネンやタオル類、お風呂場のマットなど皮膚に直接接触するものの共用は避けるようにしてください。洗濯は通常と同様の方法でかまいませんが、運搬時にはビニール袋等を使用し、手で直接触る機会を減らすようにしてください。「疥癬診療ガイドライン(第2版)2007」(インターネットにより検索可)に、通常疥癬と角化型疥癬に分けて予防のポイントが記載してありますので参考にされてはどうでしょうか。
 

Q. 薬剤耐性菌が検出された時の感染対策解除の基準について教えて下さい。
A.薬剤耐性菌が検出された場合の感染対策解除の基準は明確にはなっていません。そのため、施設によって解除基準は異なっているのが現状です。感染対策解除基準については、オランダのMRSAガイドラインでは「7日間隔の培養検査で少なくとも3回陰性」を個室管理解除基準と定めています。オランダと比較して日本ではMRSA検出率が高いため、個室管理解除基準を設けることは難しいと考えられ、この方法を適応している施設もあります。しかし、3回陰性であっても、保菌している可能性は高く、疾患による全身状態や抗菌薬の使用により耐性菌が再び検出される可能性も否定できません。自施設に応じた感染対策解除を検討していただくことが望ましいと考えます。
MRSA保菌・感染症患者の隔離基準の考え方として、菌量が多くリザーバーとなりうる病態が想定され、例えば、
①MRSA腸炎患者
②気管切開や気管内挿管患者
③広範囲の皮膚病変・熱傷・褥瘡がある患者
④便に保菌し排便コントロールが困難な患者 
等が挙げられます。
薬剤耐性菌検出部位を把握した上で、処置やケアを考慮し、周囲に感染が拡大しないようアセスメントして対応していく必要があります。
 

Q. 経管栄養投与中の患者で下痢が持続するため、クロストリジウム・ディフィシルトキシンチェックを行ったところ、トキシン陽性でした。フラジール®の投与を行ったのですが、1日2~3回の下痢が持続しています。解除基準はどのように判断したら良いでしょうか。
A.現時点では患者に下痢がみられなくなれば接触予防策を解除することが推奨されています。環境の汚染と患者の皮膚への保菌状態が持続することを理由に,下痢が治まってから2日間は接触予防策を継続することを推奨する専門家もいます。
クロストリジウム・ディフィシルトキシンによる下痢か、経管栄養剤投与やその他の原因による下痢かの判断は、様々な側面からの判断になり、解除の判断は困難です。その為、下痢症状が持続している間は接触予防策を継続することが望ましいでしょう。国内でも解除基準は決まっておらず
①下痢が消失したら
②フラジール®やバンコマイシン®などの治療薬の内服が終了したら
③フラジール®やバンコマイシン®などの治療薬の内服を終え3日経過したら
など様々です。
施設の状況を踏まえ、施設ごとに決めることになります。
 

Q. カルバペネム耐性腸内細菌が検出された場合の面会、特に、小児の面会は可能でしょうか。また面会に際し、どのような注意が必要でしょうか。
A.カルバペネム耐性腸内細菌科の細菌は、カルバペネム系抗菌薬を含む多くの広域β-ラクタム系薬に対し耐性を獲得しているのみならず、他の系統の抗菌薬にも多剤耐性を獲得していることが多く、感染症を引き起こすと治療が難しくなります。
基本的な対策はMRSAなどの多剤耐性菌の対策と同様に、標準予防策とともに接触予防策の徹底になります。そのため、家族への指導も重要になります。入退室時の手指衛生の徹底、小児の面会は、衛生行動が遵守できないことや免疫能が十分でないこと、さらに、病原体を持ち込んでしまう可能性があるため、可能な限り控えた方が良いと考えます。
 

Q. インフルエンザの院内感染予防のため、面会制限の基準はどのように設定したらよいでしょうか。
A.面会制限基準や病棟閉鎖基準などについては明確なものはなく、各施設での取り決めが必要です。施設の状況に応じて、ある程度の基準を決めていると思います。一つ、基準となる指標としては、熊本市や熊本県から発表される感染症発生動向の傾向があります。流行時期(定点1.0)を超えるころから、面会受付を設置して家族のみの面会とした施設もあるようです。
その他、面会制限を強化するために、受付やナースステーションで発熱の有無を確認する施設や、長期療養型施設ではノロウイルス防止のため、荷物の受け渡ししかできない(会えない)時期もあるようです。発熱者の受診のマスク着用についても、配布しているところもあれば、購入をお願いしている施設とさまざまです。(自動販売機を設置して、購入してもらっているところが多いようです)
 

物品管理・消毒・滅菌

Q. 速乾性手指アルコール製剤をボトルへ補充する事は止めたほうが良いでしょうか。
A.速乾性手指アルコール製剤のボトルへの補充は勧められません。主成分であるアルコールは中水準消毒薬であり、芽胞形成菌以外の微生物汚染を受けることはありませんが、これまでに、セレウス菌やクロストリジウム・ディフィシル菌などの芽胞形成菌による医療関連感染やアルコール綿のセラチア菌汚染による院内感染事例が報告されています。
CDCガイドラインでは「石鹸ディスペンサーに継ぎ足しをしない。「継ぎ足し」は細菌汚染につながることがある」と記載されており、この項目は強く推奨(ⅠA)に位置づけられています。速乾性手指アルコール製剤を同じボトルへ継ぎ足ししてしようすると、アルコール以外の揮発しない成分や汚れがたまり、同様に細菌汚染の危険があります。
速乾性手指アルコール製材ボトルは使い捨て用に作られているので、長期間使用するとポンプの劣化がおこり、規定量が排出されず、適切な手指消毒が行えなくなる可能性があります。仮に補充を行うとしたら、ボトルを洗浄消毒し、十分に乾燥することが必要になります。それらに掛かる費用や労力を考慮すると費用対効果の点からもボトルへの補充は勧められません。
 

Q. 次亜塩素酸ナトリウム液を作り置きして使用していますが、問題ないでしょうか。問題ない場合、保管方法や期間を教えて下さい。
A.次亜塩素酸ナトリウムは希釈後の安定性は保管方法に左右されます。 直射日光下では急激な濃度低下をきたします。 気密性のある遮光容器であれば30日間ほど濃度を保つことができますが蓋の開放により濃度は低下します。また容器に浸漬する方法では有機物の混入が起こり濃度低下に繋がります。 濃度は低いほど安定性にかけますので0.01% (100 ppm) 程度なら24時間で作り変えて下さい。0.1% (1000 ppm) なら5~7日間以内を目安に作り変えて下さい。
使用する次亜塩素酸の使用説明書を確認し冷所保存や暗所保存を行って下さい。
 

Q. 患者さんの歯ブラシ、コップ、歯磨き粉を、接触するような狭いスペースに一か所にまとめて保管しています。歯ブラシやコップは消毒する必要がありますか。
A.個人用であれば、洗浄・乾燥を十分に行えば消毒の必要はありませんが、集めて保管しているとのことですので、交差感染のリスクがあります。そのため、使用ごとに、洗浄後0.01%(100ppm)次亜塩素酸ナトリウムに1時間浸漬消毒を行い、流水で十分にすすいだ後、乾燥させる方がよいでしょう。しかし、歯ブラシは構造上、洗浄、消毒が確実に行えませんので、一箇所にまとめて保管するのではなく、個人ごとに管理される方法を検討されることをお勧めします。
 

Q. 多剤耐性菌感染者に使用した器材の回収、洗浄、滅菌方法を教えて下さい。
A.使用後の器材は速やかに蓋付きの容器に収納し、汚染が強い器材は、汚染物の固着や乾燥を防止するために、酵素系洗浄剤をスプレーしておきます。洗浄・消毒・滅菌については、スポルディングの分類に沿って処理方法が選択されるため、多剤耐性菌感染症者に使用したという理由で処理の方法が変わるわけではありません。
 

Q. ガーグルベースンはどのように洗浄すれば良いでしょうか。
A.熱水洗浄が適しており、ウォッシャーディスインフラクターがあれば70℃以上の熱水条件で洗浄します。ウォッシャーディスインフラクターが無い場合、洗浄後に0.01%次亜塩素酸ナトリウム溶液に1時間浸漬消毒後、乾燥させます。
 

Q. 創部の洗浄時など、膿盆に血液が付着した場合、どのように処理したら良いでしょうか。ベッドパンウォッシャーはありません。
A.創部の洗浄に使用する膿盆はセミクリティカルな物品であるため、中水準~高水準消毒が必要です。血液が付着したままで乾燥させると、その後洗浄しても付着した血液のタンパクの除去が困難となり、その中に存在するウイルスを保護して消毒しても感染性が残ることもあります。患者の処置に使用した器材は、付着した血液や体液が飛散しないように運搬し、作業者の安全に注意して洗浄を行います。プラスチックエプロンまたはガウン、
手袋、ゴーグル、マスクなどの個人防護具を必ず着用して下さい。HBVやHCVを考慮した場合、グルタラール、フタラールへの10分間の浸漬、および過酢酸への5分間の浸漬、または0.1%以上の次亜塩素酸ナトリウムへの1時間以上の浸漬が有効です。消毒後は、器材をよく洗浄、乾燥させて使用します。
注意点として、グルタラール、フタラール、過酢酸のような高水準消毒が可能な消毒薬は、換気の良い部屋で適切な保護具を着用して使用することが必要です。また医療従事者の安全のみならず、患者の安全を確保するため、使用後は十分にリンスして残留毒性が無いようにすることも肝要です。病棟での使用はおすすめしません。
 

Q. 超音波ネブライザーを使用していますが、どのように洗浄すれば良いでしょうか。
A.薬液カップや蛇管など取り外せる部品は0.01%次亜塩素酸ナトリウム溶液に1時間浸漬消毒後、乾燥させて下さい。24時間ごとに消毒を行いましょう。
 

Q. 吸引チューブを再使用しています。保管方法と交換頻度を教えて下さい。
A.<保管方法>
① 使用後にチューブの外側をアルコール綿で清拭し、チューブ内腔の有機物除去のために滅菌水を吸引する。
② ①のあとに8%エタノール添加の0.1%塩化ベンザルコニュウム(ザルコニン®A0.1、ヤクゾール®E0.1%)を吸引して、チューブ内に満たした後に、本液へ浸漬する。
③ 次の使用前には、消毒薬のリンスの目的で、滅菌水を吸引する。
<交換頻度>
使用ごとに消毒して、24時間までの再使用
 

Q. 吸引チューブは単回使用ではなく、1日1回交換し再利用しています。その際、気管切開の患者に使用した吸引チューブと他の患者に使用した吸引チューブを一緒に消毒しても良いでしょうか。
A.気管内吸引は粘膜や下気道に直接接触するので、開放式気管内吸引の場合は、滅菌された吸引カテーテルを単回使用することが推奨されています。また、吸引カテーテルの複数回の使用はカテーテルや消毒薬が細菌の温床になる可能性がありますので、気管切開の患者さんに使用した吸引チューブと他の患者さんに使用した吸引チューブを一緒に消毒し使用することはできません。吸引チューブは形態からして洗浄・消毒・滅菌が難しく、細菌伝播の危険性があります。
 

Q. 使用後の酸素マスク、カニューレ、酸素流量計の洗浄、消毒方法を教えて下さい。
A.酸素マスク、カニューレは基本シングルユースです。再利用して使用する場合は、熱水処理(70℃以上・30分間)や熱水消毒(80℃・10分間)もしくは0.01% (100ppm) 次亜塩素酸ナトリウムへの1時間浸漬での中水準消毒を適用することがよいでしょう。しかし、チューブ内を確実に消毒薬で満たす必要があり、また、洗浄後のチューブ内乾燥が困難となるため、シングルユースでの使用をお薦めします。酸素流量計の消毒は、加湿器に蒸留水を入れずに使用した場合は汚染がない限り洗浄・消毒は不要ですが、蒸留水を使用した場合はレジオネラ感染防止のために1週間毎の洗浄・消毒が必要です。消毒は熱水消毒(80℃10分)、もしくは低水準~中水準消毒剤0.1%両性界面活性剤や0.1%(1000ppm)次亜塩素酸ナトリウム30分間、もしくは、0.01%(100ppm)60分間浸漬し洗浄後乾燥が重要となります。加湿ボトル以外の部分は消毒用アルコールでの清拭消毒を行います。
 

Q. 使用後の吸引びんの洗浄、消毒方法はどのようにしたら良いですか。
A.吸引びんの消毒はフラッシャーディスインフェクター(90℃・1分の蒸気)、または、ウォッシャーディスインフェクター(80〜93℃・3〜10分間の熱水)などを用いて消毒して下さい。 熱水による消毒が行えない場合は、0.1%両性界面活性剤や0.1% (1000ppm) 次亜塩素酸ナトリウムで30分間浸漬消毒を行って下さい。
 

Q. ポータブル式の吸引器を複数の患者で共有しています。吸引器本体についているチューブも共有していますが、感染対策はどうすれば良いでしょうか。
A.チューブからの逆流は無いとは思いますが、操作する医療者の手の汚染や周囲の環境の汚染などが考えられ、共有する場合は、交差感染のリスクが高くなることから、吸引器や吸引チューブは、患者ごとに交換するのが望ましいと考えられます。どのような場面で使用されているかにもよりますが、訪問看護等で吸引器の交換が困難な場合は、チューブは患者毎にすべて交換し、吸引器とチューブの洗浄と消毒、十分な乾燥を行って下さい。
 

Q. 経管栄養ボトルを数回の使用の後に消毒し再利用しています。痰から緑膿菌が出ている患者に使用した経管栄養ボトルと他の患者に使用した経管栄養ボトルを一緒に消毒しても良いでしょうか。
A.再使用する器材は、スポルディングの分類に沿って処理方法を選択します。この基準は標準予防策の考え方に基づいているため、検査などで知られている感染の有無ではなく、各器具・機器類の使用部位や用途に依存する感染リスクに基づいて処理法を選択するという考え方です。経管栄養ボトルはノンクリティカル器材に分類されます。適切な洗浄・(消毒)・乾燥が行われれば、痰から緑膿菌が検出されていることを理由に個別にする必要はないと考えられます。
 

Q. 使用後の胃瘻チューブに酢水を流していますが、感染管理上必要なのでしょうか。
A.経管栄養チューブに酢水を充填することは閉塞予防の観点から日本静脈経腸栄養学会で推奨されています。また、0.1%酢酸が静菌作用を示すことが報告されています。しかし、酢酸水をフラッシュしても、チューブ内の酢酸が経管栄養剤や体液などで不活化あるいは希釈されることで、チューブ内の細菌汚染を防ぐことはできないと推定されています。
また、経腸栄養用チューブ内へ日本薬局方酢酸(約30%酢酸)15mlと白湯3mlとの混合液(約25%酢酸)をフラッシュして、患者が死亡した事例がありますので、胃瘻チューブ内のフラッシュには、感染管理と安全管理上では、白湯や水道水などを用いることが推奨されています。
 

Q. 施設にベッドパンウォッシャーがありません。陰部洗浄ボトルはどのように管理したら良いでしょうか。
A.使用後のシャワーボトルは洗浄して、0.01%(100ppm)~0.1%(1000ppm)次亜塩素酸ナトリウム(500倍~50希釈ハイター®)に浸漬します。そして、1時間程度浸漬させた後に乾燥させておくか、または次回使用時まで浸漬させておきます。この際の次亜塩素酸ナトリウム濃度は、目にみえる汚れの付着がなければ0.01%で差し支えありません。また、希釈後の次亜塩素酸ナトリウムを7日間などにわたって用いるのであれば、その濃度チェックを日産アクアチェック®HC(1枚が約20円)などを用いて行って下さい。希釈後の次亜塩素酸ナトリウムは、有機物(汚れ)の混入が少なければ、7日間程度は使用可能です。なお、浸漬はフタ付きの容器で行って下さい。
 

Q. 陰部洗浄ボトルは患者の陰部に接触させていないなら、洗浄や消毒をせずに次の患者に使用して良いのでしょうか。
A.使用後の陰部洗浄ボトルは、たとえ目に見える汚れの付着がなくても、洗浄時のしぶきなどで微生物汚染を受けている可能性が高いと考えます。ボトルの共有は感染拡大の原因の一つになるため、熱水洗浄や浸漬消毒後、乾燥させて使用して下さい。
 

Q. 最近、ESBLが病院内の尿培養で増えてきました。陰部洗浄ボトルは一患者に一個は使用していません。ESBLと陰部洗浄ボトルの関連はありますか。
A.使用後の陰部洗浄ボトルは、たとえ目に見える汚れの付着がなくても、洗浄時のしぶきなどで微生物汚染を受けている可能性が高いと考えます。ボトルの共有は感染拡大の原因の一つになるため、患者ごとに準備することが推奨されます。使用後の処理方法については、熱水洗浄や浸漬消毒後、十分乾燥させて使用して下さい。ESBL産生菌が増えている事と陰部洗浄ボトルの共用に関連があるかは、遺伝子検査などを行わないと不明ですが、陰部洗浄ボトル以外にも、オムツ交換の手技や尿道留置カテーテルの集尿時の手技、個人防護具の使用など確認する必要はあると考えます。
 

Q. 内視鏡に使用するマウスピースの管理方法を教えて下さい。
A.マウスピースはセミクリティカル器材となります。耐熱性であれば、ウォッシャーディスインフェクターなどによる熱水洗浄を第一選択とし、それに加え高圧蒸気滅菌を行うことが確実で安全です。耐熱性でない場合には、洗浄後に消毒用エタノールへの10分間浸漬や、0.1%次亜塩素酸ナトリウムへの30分間浸漬により消毒を行います。ディスポ製品も販売されています。
 

Q. 使用後の腹腔鏡の鉗子の処理ですが、感染症のある患者に使用した場合は廃棄していますが、そうでない場合は洗浄後、ガス滅菌しています。管理方法として適切でしょうか。
A.元来、単回使用器材の場合は、種類を問わず、添付文書で指定された使用方法を遵守するとともに、「特段の合理的理由がない限り、これを再使用しない(厚生労働省の通知)」というのが原則であり、再使用により問題が生じた場合は医療施設の責任が問われます。仮に再使用可能なものであっても、素材や形状、強度や洗浄・消毒・滅菌が問題なく行える構造なのかを良く検討し、施設として方針を定めておく必要があります。ご質問の鉗子は、無菌の組織に使用するものですので、患者の感染の有無にかかわらず製造元の取り扱い添付文書に従い分解し、洗浄・消毒・滅菌する必要があります。また、細腔状であるため、高圧蒸気滅菌およびエチレンオキサイド滅菌ともに滅菌不良が起こる可能性があります。そのため、細腔状のものの滅菌工程を評価する工程試験用具(PCD)を使用して滅菌物に対する蒸気およびEOGの浸透性を把握する必要があります。またEOGについて今回のような細腔状の器材では、エアレーションが不十分でEOGと副生成物の残留もあるため、製造元の取り扱い上、可能であれば高圧蒸気滅菌が安全です。
 

Q. 心電図の管理について、患者の皮膚に触れる電極部分の管理方法を教えて下さい。
A.製品によって異なる場合がありますので、管理方法については電極の添付文書の保守・点検に係る事項を確認してから清拭などを行なって下さい。
(例)胸部電極TE- フクダ電子株式会社      (http://www.fukuda.co.jp/medical/products/attached_document/pdf/te-01.pdf )
・消毒用アルコールを使用して清拭して下さい。
・清掃にシンナー、トルエンなどの有機溶剤は使用しないで下さい。
再使用可能な心電用電極のゴム球を介したと思われる感染の報告もされています。現在はディスポーサブル商品も出ており、単回使用がベストであると考えます。しかし、コスト面やその他の事情から単回使用が難しい状況もあるかと思います。単回使用をしない電解質パッドの交換頻度としては特に定められたものはないですが、施設や部署により使用頻度や保管状況も異なりますのでそれぞれの施設、部署で1回/日、1回/週など交換頻度を決めていただくと良いと思います。
 

Q. 滅菌物の保管方法や保管時の条件を教えて下さい。
A.滅菌物の保管環境としては、温度18~22℃、湿度35~75%で、換気システムが整備され、滅菌物専用の保管場所が望ましいです。具体的には床から20~25㎝、天井から45㎝、外壁から5㎝以上の距離を取り、段ボール等には保管せず、原則扉付きの棚に収容するようにします。また、滅菌物が破損しないようにゆとりをもって保管します。例として、滅菌バックを折り曲げない、輪ゴムで止めない、重ねて置かない、滅菌バッグにボールペンやマジックで文字を記載しないようにします。保管場所へ収納する時は、古いものから使用できるように収納をしていきます(先入れ先出し法)。さらに、使用頻度を考えた定数管理を行っていくことも大切です。
 

Q. 滅菌物と未滅菌物が混在している場所に保管してある滅菌物の有効期限は通常通りで良いのでしょうか。
A.滅菌物の有効期限(使用期間)(以下、安全保存期間という。)の設定の考え方には、時間依存型無菌性維持(TRSM)と事象依存型無菌性維持(ERSM)があります。安全保存期間は包装材料、包装形態、保管状況などの条件によって異なります。したがって、一律に有効期限を設定することは難しく、施設の責任のもとに安全保存期間を設定しているのが現状です。どのような取り決めをするにしても、滅菌物が適切に保管できることが条件となります。通常通りの有効期限とは、適切な環境下で保管した安全保存期間であり、滅菌物と未滅菌物が混在している場所では、無菌性の維持が困難な環境にあると考えられますので、保管場所を検討する必要があります。
 

Q. 収納棚とカゴでは、埃やごみの付着が違ってくると思いますが、どのようなものに使用すれば良いでしょうか。
A.滅菌物などを保管するには扉の閉まる収納棚など埃やゴミ、湿度の影響が少ないものに保管した方が良いと考えます。滅菌物でない場合も医療器材が汚染(包装の破損、湿潤、浸水、害虫により)しないような場所に保管します。さらに、カゴを使用する場合も同様の管理ができるものにします。使用するカゴは凹凸等が少なく、清掃や洗浄がしやすい耐薬性や耐熱性のものが管理しやすいと考えます。
 

Q. 感染性胃腸炎(ノロウイルスや0-157など)の患者が布団や畳、絨毯に嘔吐した場合の処理方法を教えて下さい。
A.布団や畳、絨毯は完全に洗浄や清掃、消毒することは難しいので、可能であれば廃棄が望ましいです。2006年、東京のホテルの事例では嘔吐発生後、数日が経過した嘔吐場所が感染伝播の原因になっています。
嘔吐物などを不適切に処理、もしくは放置することにより、ウイルスを含んだ小粒子が環境(この事例の場合は床のカーペット)中に大量に残存した状態になり、そのような状態にある床などの環境表面を媒介物として、そこから塵埃が舞い上がり、それを吸い込んだ人が感染したと推定されています。
廃棄が困難であれば以下のような方法をとります。布団などすぐに洗濯できない場合、可能な範囲で吐物を拭き取ります。そして、次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度1000ppm=0.1%以上)に浸漬消毒させ、通常の洗濯をします。浸漬消毒ができない場合は汚染部位を目視で確認できる範囲よりも広く次亜塩素酸ナトリウムで10分間湿らせ、その後、水拭きをします。最後にスチームアイロンや布団乾燥機を使うと効果的です。処理などをする際は、マスク、ゴーグル、手袋、エプロン、シューカバーなどの個人防護用具を正しく装着し処理を行います。また、次亜塩素酸ナトリウムは塩素系の消毒剤ですので処理時は換気も行いながら実施しましょう。
 

Q. 吐物などが付いた白衣、リネンは、吐物を落とし洗濯洗剤で洗濯し次亜塩素酸ナトリウムに浸けています。処理方法として適切でしょうか。
A.感染性のあるリネン等の取扱い時には、スタンダードプリコーションの考えに準じて、個人防護具を着用し処理を行います。
方法としてはまず、感染性のあるリネンは水溶性ランドリーバッグもしくはプラスチック袋に入れ、感染性を明記して洗濯施設に運搬します。感染性のあるリネンの洗濯・消毒方法として、下記の方法があります。
①80℃の熱水で10分間以上洗濯処理を行う方法
②次亜塩素酸ナトリウムなどの塩素系消毒薬を加えて洗濯する方法 例:ノロウイルスなどの汚染が考えられるリネンは、0.05~0.1%(500~1000ppm)次亜塩素酸ナトリウムへ30分間浸漬する。その他の場合には0.02%(200ppm)に5分間以上浸漬する。
③その他の消毒薬を加える方法
例:塩素系洗剤の漂白効果により影響を受けるリネンは、0.1%ベンザルコニウム塩化物液、0.1%ベンゼトニウム塩化物液または0.1%アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩液に30分間浸漬する。
④すすぎの段階で次亜塩素酸ナトリウムを使用する方法
例:0.01~0.02%(100~200ppm)次亜塩素酸ナトリウムのすすぎ水に5分間浸漬する。
以上の方法があります。したがって、質問にある方法は概ね妥当と考えます。
 

Q. 血液が付着したリネンやO-157感染者に使用したリネンを院内で処理する必要がありますか。そのまま、感染性リネンとして業者に持って行ってもらって良いでしょうか。
A.リネンの外部委託については、「病院、診療所等の業務委託について」(平成5年2月15日指第14号厚生省健康政策局指導課長通知)「第八 患者等の寝具類の洗濯業務について」(令第四条の七第七号関係)が出されています。内容は、「感染の危険のある寝具類については、その洗濯を外部委託できるものであっても、やむを得ない場合を除き、これに係る消毒は病院内の施設で行うこと(例外的に消毒前の寝具類の洗濯を外部委託する場合には・・・以下略す)」とあります。この「例外的に」というのは、「原則として施設内で、寝具類の消毒を行い、外部委託業者に出すのであるが、災害等により設備が使用できない時、一時的に消毒を行う設備が機能していない時に、外部委託する場合」を指しています。したがって、院内で処理する必要があります。例外的に消毒前の感染性リネンを外部委託する場合は、感染の危険がある旨を表示した上で、密封した容器に収めて持ち出す必要があります。
 

Q. ノロウイルス患者が嘔吐して衣類が汚染した場合の処理の方法を教えて下さい。消毒ができない衣類の場合はどのようにすれば良いでしょうか。
A.廃棄が望ましいです。しかし、廃棄が困難で消毒薬も使用できない場合は熱水への浸漬が有効です。まず、水の中でウイルスが飛び散らないように静かにもみ洗いし吐物を取り除き、その後、熱水洗濯機があれば80℃10分間で洗濯をします。熱水洗濯機がない場合は80℃のお湯に10分間浸漬します。温度が下がらないように温度計を使用し、80℃を維持できるようにお湯を継ぎ足します。火傷をしないように注意して下さい。最後にスチームアイロンを使うと効果的です。
 

Q. クロストリジウム・ディフィシルトキシン陽性の患者がリネン類を汚染した場合のリネン類の処理方法を教えて下さい。
A.シーツ等のリネン類は、汚染拡散しないよう病室内でビニール袋に入れ密封し、80℃10分以上の熱水洗濯をします。(芽胞の状態では熱抵抗性も強く、80℃熱水消毒では殺菌できませんが、洗濯工程で大量の水で洗い流すことにより感染リスクを減らすことができます)。熱水洗濯ができない時は、通常の洗濯工程後、すすぎ工程で0.1%次亜塩素酸ナトリウムを注入し、「貯めすすぎ」を30分間行って下さい。
 

Q. 尿よりESBLが検出されている患者が、布製の椅子に尿汚染させてしまいました。カバー等は外せません。その際の処理方法を教えて下さい。
A.水で湿らせた布類で汚染部位を拭き取ります。その後、消毒をします。消毒薬を選択する場合、基本的には低水準消毒薬でも有効ですが、抵抗性を示す場合がありますので、なるべくアルコールや200~1000ppm(0.02~0.1%)次亜塩素酸ナトリウムを選択し、浸すように清拭し、再度乾燥させる方法などが可能と思われます。今後は、拭き上げができる素材のものにするか、防水性のカバーの使用を検討して下さい。
 

Q. 吸引チューブをシングルユース化したいと考えています。コストはどれくらい掛かるでしょうか。
A.吸引チューブの使用患者数と使用頻度によって異なります。 吸引チューブを再使用するために必要な消毒薬や浸漬容器の準備と管理、そのためにかかる時間について人件費を計算して検討してみてはいかがでしょうか。
 

Q. 経管栄養チューブの交換頻度や使用後の消毒方法について、出来るだけコストがかからない方法を教えて下さい。
A.シングルユースと書かれている医療器材の再使用については医療施設の責任が問われます。経管栄養チューブは、原則として単回使用がメーカーより推奨されています。やむを得ず再使用する場合は使用ごとに中性洗浄剤で洗浄し、シリンジなどを用いて洗浄液をチューブ内に少し圧がかかる位の強さで押し込みます。すすぎも流水で同様に行ないます。また、汚れがないことを確認した後、熱水洗浄か0.01%濃度の次亜塩素酸ナトリウムに1時間以上浸漬し消毒します。この時もシリンジなどを用いてチューブ内に消毒液を充填させ、すすいだあとは、乾燥させて使用します。また、チューブ類を再使用する場合の交換頻度については、24時間毎に使い捨てとするのが望ましいとされています。感染事例が発生した場合、施設側に責任が生じるという点を認識し十分に注意して下さい。
 

Q. 酸素マスク、チューブ類をディスポーザブル製品に換えたいのですが、コスト高になるため再生しています。洗浄機を購入すると再生を認めてしまうため出来れば購入したくはありません。何か良い方法がないでしょうか。
A.ディスポーザブル製品を導入した場合のコスト試算と、再利用するためにかかるランニングコスト(洗浄・消毒・乾燥にかかる消毒薬使用費、時間、人件費等)を比較して、計算してみてはどうでしょうか。洗浄機の購入費用とも比較し、それの導入による洗浄作業の効率化や一定水準の洗浄、保証(インジケーター等での確認や目視での確認が必要ですが)と、人件費や他業務への時間還元を考慮して、相対的に比較検討されてみてはいかがでしょうか。また、酸素マスク、カニューレ等は基本的にシングルユース器材です。やむを得ず再利用する場合は洗浄後、中水準消毒もしくは熱水処理が適切です。熱水処理(70℃以上・30分)や熱水消毒(80℃・10分)もしくは0.01%次亜塩素酸ナトリウム液への1時間の浸漬も可能ですが、洗浄、消毒、乾燥の工程は適切に行わなければなりません。これらが適切に行われない場合、消毒は不十分となり再利用は難しくなります。シングルユースと書かれている医療器材の再使用については医療施設の責任が問われ、この点について施設の方針を明確にしたうえで、素材や形状、強度や洗浄・消毒・滅菌が問題なく行える構造なのかを検討し、施設として判断することが大切です。
 

Q. 口腔ケアに使用したガーグルベースンは、患者ごとに違うものを使い、接触しなければ、使用毎に次亜塩素酸ナトリウム液で消毒しなくても、水洗 いして一つのかごに並べて置いておいても良いでしょうか。認知症や多飲の方もいて、個人の部屋での管理は不可能です。熱水洗浄の機械もありません。
A.ガーグルベースンはノンクリティカル器材ですので、①粘膜や損傷皮膚に接触するものは「消毒」が必要である ②正常な皮膚には接触するが粘膜には接触しないものは、汚れていれば「洗浄」する ただし、MRSA,VRE保菌者への使用後は「消毒」が必要 です。この場合、②の対応でよいのですが、未検査の不特定多数の方の口腔ケアに使用されると思いますので、使用後は洗浄後消毒が必要であると考えます。又、口から吐き出す際に、血液や痰なども混入する可能性もあります。蓋つきのバケツを使用され 1)次亜塩素酸ナトリウムであれば、0.1% 30分以上(0.01%であれば60分以上)浸漬 又は、2)熱水消毒であれば80℃10分間浸漬 で対応していただければと考えます。感染管理上、バケツにガーグルベースンが全部浸せる状態で消毒していただきたいと思います。
 

Q. 当院では、アルコール綿を手作りしています。アルコール綿花を作る前に手洗いを行っています。万能つぼに綿花をいれて、上から70%のイソプロパノールをかけ、素手で作っています。手袋をつけて作ったほうがいいでしょうか。
A.消毒綿花の汚染は、医療関連感染の原因になりますので、万能つぼと綿花の適切な管理が重要です。そのため、作成時は手洗い後手袋を装着し作成されることをお勧めします。また蓋を開けるたびに落下細菌や手指による綿花と万能つぼの汚染とアルコールの揮発による濃度低下が考えられますので、以下のように管理することが重要です。
・万能つぼから綿花を取り出す際は、可能な限り素手ではなく手袋を装着し取り出す。手袋装着が厳しい場合は、確実に手指衛生を行って取り出す。
・綿花や消毒薬の継ぎ足しをしない。
・短期間(1日)で使い切る量を作成する。
・使い切り後の万能つぼは洗浄・滅菌し、作成ごとに滅菌した万能つぼを使用する。
可能であれば、使い切りのアルコール綿(50枚、100枚、200枚入りなど)や単包アルコール綿をお勧めします。単包アルコール綿は開封するまで品質保証され、無駄に破棄することもありません。かえって破棄する綿花の量が減り、消毒薬や綿花、万能つぼの洗浄や滅菌にかかる手間やコスト(人件費も含みます)を考慮すると、経済的であるといわれています。
<参考文献>
1.洪愛子、続★感染対策チェックテスト100、日本看護協会出版会、2009、P27.28)
 

Q. 当院にはベッドパンウォッシャーがありませんので、0.1%次亜塩素酸ナトリウムに30分浸水する方法で消毒を行っていますが、0.01%で60分以上浸水すれば効果があるという文面を目にしました。根拠を調べましたがなかなか見つかりません。この方法で問題ないかどうか教えて下さい。
A.「医療施設における消毒と滅菌のためのCDCガイドライン2008」(2009年、ヴァンメディカル出版)の勧告に「4.ノンクリティカルな患者のケア器具のための低水準消毒薬の選択および使用」の項目があります。
項目a ノンクリティカルな患者器具は、表1に記載した消毒薬と殺菌濃度で処理すること 
との記載があり、別途表1に詳細が記載されています。
表中に平滑な硬い表面に対する低水準(ノンクリティカル器具、健康な皮膚と接触するもの)の消毒手順として
L:次亜塩素酸ナトリウム(1:500に希釈した5.25~6.15%家庭用漂白剤では>100ppmの塩素が利用できる)
との記載があります。この記載からではないでしょうか。
しかし、希釈後の次亜塩素酸ナトリウムは、汚れの混入による不活性化と、経時的な分解との両方に左右されます。目にみえる汚れの混入で急速に不活性化が生じます。
また、この不活性化は本薬の濃度が低いほど生じやすいとされています。
洗浄後に尿・便器の全体を消毒する方法では、フタ付き容器内で0.05~0.1%(500~1,000ppm)次亜塩素酸ナトリウムへの30分間以上の浸漬がすすめられています。
上記もふまえ、尿器の消毒方法についてはご検討下さい。
 

Q. NGチューブでの経管栄養中で、喀痰からMRSAや緑膿菌、アシネトバクターなど多剤耐性になりうる菌が検出された患者さんは毎回シリンジを使い捨てにしています。保菌でない患者さんは洗剤で洗って全員分まとめてジクロシアにつけて1日で新しいシリンジに交換しています。シリンジの交換頻度については施設ごとで様々で、またシリンジの交換頻度が多いとコストや手間もかかるためどうしたらよいか困っています。
①NGチューブから経管栄養をしている患者さんで痰から菌が検出されない人は、シリンジ交換の時期はどのくらいが適切ですか。 痰や咽頭からMRSAや緑膿菌など耐性菌になりうる菌が検出された患者さんは、シリンジ交換の時期はどのくらいが適切ですか。
②PEGから経管栄養を行っている患者さんで、PEG周囲から菌が検出されない人のシリンジ交換の時期はどのくらいが適切ですか。PEG周囲から多剤耐性になりうる菌が検出されたらシリンジの交換の時期はいつが適切ですか。
③痰からMRSAや緑膿菌など耐性菌が検出された患者さんで、PEGから経管栄養を注入していたら感染予防の観点から当院では毎回シリンジを使い捨てにしていますが、使い捨てにする必要があるのでしょうか。

A.当院では、現在、喀痰からMRSAや緑膿菌、アシネトバクターなどが多剤耐性になりうる菌が検出された患者さんは、毎回シリンジを使い捨てにしています。ご質問者のご施設では、保菌でない患者さんは洗剤で洗って全員分まとめてジクロシアにつけて1日で新しいシリンジに交換しておられるとのことで、よい管理をされていて問題ないと思います。
耐性菌が検出されている患者様に使用した物品をその環境から外に出す際に、周りの環境を汚染させる恐れがあります。ベッドサイドでケアを完結させることができており、理想的であると思います。
2009年INFECTION CONTOROL秋季増刊「現場ですぐ使える洗浄・消毒・滅菌の推奨度別絶対ルール227&エビデンス」で、P277 内服注入し時に使用したカテーテルチップ注射器の洗浄・消毒については、洗浄して0.01%(100PPM)次亜塩素酸ナトリウムへの1時間浸漬を行い、その後に食器乾燥機などで乾燥させる。また、洗浄して食器乾燥機などで乾燥させる方法で差支えないと掲載されています。
吉田製薬のホームページにも物品の消毒について資料が掲載されております。(http://www.kenei-pharm.com/medical/countermeasure/machine/
消毒をすれば何度も注射器を再利用することは可能とされておりますが、注射器自体がシングルユースとなっております。カテーテルチップの劣化などで亀裂が入るなどした場合、洗浄、消毒が困難になると思われます。コストの問題があるとのことでしたが、このことも踏まえて施設のルールを決められてはいかがでしょうか。
②③については同様の回答となります。
 

Q. 当院は経鼻胃管チューブ(NGチューブ)から経管栄養シリンジ(JMSジェイフィード注入器)を使用して薬液を注入しています。感染対策として使用はシングルユースが基本ですが病院の費用増大という点で病院より1日交換となっています。使用したら市販の洗浄剤で洗浄して0.01%(100PPM)次亜塩素酸ナトリウムへの1時間浸漬を行い、その後に食器乾燥機で乾燥させています。洗浄についてですが市販の台所用合成洗剤で洗浄していますが、この洗浄方法で良いでしょうか。経鼻胃管チューブの先端は胃液が逆流したり有機物が付着している可能性があるためタンパク除去剤の方が良いのでしょうか。
A.経管栄養のシリンジの洗浄についてですが、酵素洗浄剤(タンパク除去剤)と台所用合成洗剤を比較検討した報告はなく、どちらが有効であるかの判断ができません。酵素洗浄剤は血液・体液などの汚れを分解・除去するもので、経管栄養シリンジの洗浄も適用しますが、貴ご施設の洗浄に関しては現在の方法でも問題ないと考えられます。酵素洗浄剤の価格も以前より安価になりましたが、依然、台所用合成洗剤より高価です。酵素洗浄剤の使用とシリンジのディスポ化との費用対効果をご検討されてみてはいかがでしょうか。
補足ですが、在宅における経管栄養に使用するシリンジの洗浄・管理方法の先行研究にて2)、シリンジの消毒法を3つの方法で実施し、細菌汚染の状況を比較しています。①中性洗剤洗浄法・・家庭用台所洗剤で洗浄した後に水を切り、空気に触れるように内筒をひいてかごに入れ、自然乾燥させる、②消毒剤法・・家庭用台所洗剤で洗浄した後、内筒の中に空気が入らないようにし、内筒と外筒に分け、消毒剤として次亜塩素酸ナトリウムを使用し、使用方法に従い、内筒も外筒も次亜塩素酸ナトリウム液(0.0125%)に完全に浸ける。次回使用時まで1時間以上は消毒薬の中に浸けておき、1日1回、消毒液を交換する、③乾燥法・・家庭用台所洗剤で洗浄後、外筒と内筒に分けて、乾燥機に立てていれ、80℃で20分乾燥させる。次回の使用時まで乾燥機の中で保管する方法です。結果は、①1日目から毎日、数種類(緑膿菌・クレブシエラ菌・エンテロバクタークロアカエ・ブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌・腸内細菌叢・アシネトバクター)の菌が検出、②7日間全く菌の検出はなし、③最終日(7日目)にのみ、緑膿菌と腸内細菌叢が検出されたと報告しています。
貴ご施設では、次亜塩素酸ナトリウムでの消毒後、食器乾燥機で乾燥されています。経管栄養のシリンジの先端は細く、乾燥機を使用しても乾燥が不十分であることも考えられます。上記結果からもわかりますように、洗浄後の経管栄養のシリンジは、洗浄後次亜塩素酸ナトリウム液(0.0125%)に完全に浸漬し、使用直前に流水で流し使用する方法もご検討ください。

<参考文献>
1)小林寛伊:新版 増補版 消毒と滅菌のガイドライン へるす出版 2015
2)根城しずか,杉山美妃子他:在宅における経管栄養に使用するシリンジの洗浄・管理方法.保健科学研究 4:11-16,2014
3)大久保憲:現場ですぐ使える洗浄・消毒・滅菌の絶対ルール227andエビデンス.227.メディカ出版,東京,2009.
4)尾家重治:ここが知りたい!消毒・滅菌・感染防止のQandA.照林社,東京,2009.
 

Q. 口腔内吸引する時、チューブの表面をアルコールで拭き、チューブ内は水道水を通して24時間再利用しています。チューブ内の消毒は、クロルヘキシジン等の消毒液を使用したほうがいいのでしょうか。その場合の希釈液は水道水でもいいのでしょうか。
A.口腔内吸引の使用後のチューブは、唾液などの有機物が付着しています。チューブの外側はアルコール綿などで拭き取り、チューブの内腔は水道水を吸引し有機物を除去してください。チューブを保管する際には、保管容器に8%エタノール添加の0.1%塩化ベンザルコニュウム(ザルコニン®A0.1、ヤクゾール®E0.1%)へ浸漬するか、または容器にそのまま保管してください。浸漬消毒する場合、消毒薬は一日一回交換してください。容器にそのまま保管する場合は、チューブ内に水分が残らないように十分に吸引してから容器に保管してください。保管容器の管理について、一日一回は洗浄、乾燥させて使用して下さい。
 

廃棄

Q. 感染性廃棄物を梱包するときに、8割を満たしていなかったので、他の容器の廃棄物と合わせて廃棄しても良いでしょうか。
A.感染性廃棄容器の移し換えは、血液、体液の流出などにより、移し換える人への感染リスクを高めますので、原則として行わないようにしましょう。
 

Q. 薬剤耐性緑膿菌などの耐性菌が出ている患者のオムツ交換や吸 引ボトル洗浄時などに使用したエプ ロンや手袋は、感染性廃棄物(オレンジのハザード)に捨てないといけないのでしょうか? また、ESBLs産生菌の保菌者の患者に使用したエプロン等はどうでしょうか。
A.廃棄物の処理及び清掃に関する法律によると、廃棄物は大きく産 業廃棄物と一般廃棄物に分けられ、それぞれの中で爆発性や毒性、感染性等の人の健康や生活環境 に被害を及ぼす恐れがある廃棄物を特別管理廃棄物として通常の廃棄物よりも厳しく規制しています。感染性廃棄物は特別管理廃棄物の一つであり、医療関連機関から 生じ、人が感染し、若しくは感染するおそれのある病原体が含まれ、若しくは付着し、又はこれらのおそれがあるものと定義づけられています。
廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル(平成24年5月 環境省大臣官房)の5ページ、「感染性廃棄物の判断フロー」に基づいて考えると、薬剤耐性緑膿菌に 感染している患者さんに使用した個人防護具には、体液(尿その他)が付着している可能性があると判断するのが妥当かと思います。(STEP1形状)
また 薬剤耐性緑膿菌は5類感染症にも位置づけられますので、感染性廃棄物として処理することが適切と考えます。(STEP3感染 症の種類)ESBL 産生菌の多くは腸内細菌なので、便や尿などに保菌している可能性が高いと考えられます。ESBL産生菌は感染症法上の届出は不要ですが、 ESBL産生菌の耐性遺伝子はプラスミド上にあるため、他の人の体内に入り、耐性化していない大腸菌などにこの遺伝子が伝播 するという点でも感染対策上、 非常に重要な耐性菌のひとつと言えると思います。
以上の点も含めて前述のSTEP1の可能性が大きいことから感染性廃棄物での処理がいいのではないかと思います。
参考までに、5類感染症には以下の感染症が含まれます。
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA),薬剤耐性緑膿 菌感染症(MDRP),バン コマイシン耐性腸球菌(VRE),感染性胃腸炎, HBV,HCV,HIV,先天性風疹症候群, 水痘,風疹,麻疹,急性出血性結膜炎,クロイ ツフェルト・ヤコブ病,手足口病,百日咳,流行性角結膜炎(EKC),バンコ マイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症(VRS A),ペニシリン耐性肺炎球菌感染症(PRSP) などなど・・・。
 

Q. MRSAやVREなどの薬剤耐性菌感染者に使用したリネン類はどのようにして洗濯に出したら良いでしょうか。
A.感染症の有無にかかわらずリネン類は、80℃以上の熱水で10分間以上の洗濯処理を行うか、次亜塩素酸ナトリウムなどの塩素系消毒薬を加えて洗濯を行う(例:0.01~0.02% (100~200ppm) 次亜塩素酸ナトリウムで30分浸漬)必要があります。感染性のあるリネンは水溶性ランドリーバッグもしくはプラスチック袋に入れ感染性を明記して洗濯施設に(密閉した状態で)運搬することとされています。袋に入れる際には、着用しているユニフォームや周囲環境を汚染しないように注意し、袋へ入れた後も中の空気を一気に押し出すようなこと(エアロゾル化)をしないようにしましょう。感染性のあるリネンとは、通常は血液、体液、分泌物などの感染性がある物質が付着したリネンのことを指しますが、耐性菌が検出されている患者が使用したリネンを、耐性菌の拡散防止を目的として、「感染性リネン」として扱うことがあります。
 

環境整備・清掃

Q. インフルエンザ流行時期に、病室の環境対策として湿度温度チェックを行い、湿度が低いときは定期的に霧吹き噴霧を行っています。効果があるのかという意見がありますが、全病室に加湿器を設置することは現状では不可能なのでこの方法を継続するしかありません。効果と他に良い方法があれば教えて下さい。

A.インフルエンザウイルスなど飛沫感染するウイルスは、湿度30-40%程度が生存しやすい為、できれば湿度を50~60%に保つのが望ましいとされています。空気が乾燥するとウイルスを含む飛沫に含まれる水分が蒸発しやすく、空気中を漂う感染性のウイルス粒子が増えます。また、喉の粘膜の防御機能が低下し、感染を起こしやすい状態になります。
部屋の湿度を上げる方法の一つとして、霧吹き噴霧はあるのかもしれませんが、どれくらいの効果があるのかはわかりません。効果の確認のために、霧吹きの前後の部屋の湿度を計ってみられてはいかがでしょうか?
それ以外の方法としては「濡れタオルをつるす」方法や「カーテンに霧吹きで水を噴霧する」方法があります。「カーテンへの霧吹き」では噴霧後30分間は急激な湿度上昇をもたらしたが2時間後には噴霧前の値まで低下し、「濡れタオル」は急激な湿度上昇はもたらさないものの6時間以上効果が持続したとの報告があります。
どちらの方法にも言えることですが、タオルや噴霧器の容器および水は汚染していないことを確認してください。カーテンは交換頻度も少ないと思われるので、毎日新しいタオルを使用するのが良いのではないでしょうか。
 

Q. 定期的な環境付着菌検査は必要でしょうか。
A.環境の微生物検査については、医療関連感染の発生率は、環境表面の細菌汚染レベルとは関係がないことや、環境表面における微生物汚染の許容基準がないことから、定期的な環境の付着細菌検査を行う必要はありません。CDCの2003年、環境感染管理のガイドラインでも「医療機関において、空気、水、および環境表面のランダムで目的の不明確な微生物検査はするべきでない」と勧告しています。ただし、病院環境が感染の拡大の原因と疑われる時は、環境培養検査を実施することがあります。その場合でも費用対効果を十分考慮に入れ、細菌検査室のスタッフと協議の上行います。
 

Q. 病室のベッド周辺などの環境整備に強酸性水は有効でしょうか。
A.強酸性水は水道水を電気分解することによって生じる次亜塩素酸が殺菌力を有します。よって「病室のテーブルや床の清掃」「プラスチック製品等の洗浄」などに使用できると考えます。しかし、強酸性水は消毒薬として厚生労働省が認可していませんので、消毒薬でないことを認識して使用すべきです。また、強酸性水は長期保存や開放容器に保存、遮光せずに保存することにより殺菌力が低下してしまいますので、作成後直ちに使用して下さい。
 

Q. 使用後の沐浴槽の清掃方法を教えて下さい。
A.スポルディング分類ではノンクリティカルになります。低水準消毒薬での洗浄消毒の区分となりますが、塩化ベンザルコニウム液は陽イオンであり、石鹸や洗剤などの陰イオン界面活性剤により沈殿物を生じ殺菌力が低下します。両面活性剤は有機物の影響を受けにくく広い領域で作用しスペクトルの広い殺菌作用を示しますので、浴槽や沐浴槽には両面活性剤での洗浄が推奨されます。家庭用洗剤で洗浄後、両面活性剤で浸漬し、十分乾燥させるようにして下さい。
 

Q. 結核患者の病室の清掃はどのようにすれば良いでしょうか。
A.結核は結核菌の飛沫核が肺胞まで到達し感染する感染症です。飛沫核とは、咳やくしゃみによって飛び散る飛沫の水分が蒸発したものです。結核患者から飛散された結核菌を含む飛沫を吸っても肺胞までは到達しないので感染は成立しません。 手指を介して接触感染することはないので一般病室と同じ清掃で良いでしょう。
 

Q. 結核が疑われる患者に、陰圧室でない個室で透析を行った後の室内の換気や清掃について教えて下さい。
A.感染性結核患者の収容区域の空気が他の区域に流出しないように換気は十分に行って下さい。患者退室後に、ドアを閉め切り窓を開放して空気の入れ替えを1時間程度行うと良いでしょう。室内の清掃に関しては、特別な消毒を行う必要はなく、通常の清掃で十分です。
 

Q. ノロウイルスによる集団感染の発生時、環境整備に次亜塩素酸ナトリウムを使用しています。濃度はどのくらいでしょうか。また浴室も次亜塩素酸ナトリウム液による清掃は必要でしょうか。その際、濃度はどのくらいでしょうか。
A.集団発生しウイルスの存在が予想される環境には0.02% (200ppm) 次亜塩素酸ナトリウムで拭きあげ、10分程度時間をおいて水拭きを行います。嘔吐物や排泄物による汚染がある場合は、0.1% (1000ppm) 次亜塩素酸ナトリウムを使用し処理しましょう。入浴は最後にし、浴室もウイルスが付着する危険があるので、0.02% (200ppm) 次亜塩素酸ナトリウムで浸すように拭くと効果があります。 温度が上がると効果が半減するので注意しましょう。ただし、症状の強い時期はウイルスの排泄量も多いと考えられますので、入浴は控えたり、個室の浴室を使用する必要があります。また、高齢者は、嘔吐や下痢による脱水症状を助長させる危険性もあるので注意しましょう。
 

Q. ノロウイルス患者が使用した後のトイレの清掃について、消毒部位と消毒方法を教えて下さい。
A.トイレの消毒部位は、洋式トイレの便座、便座のフタ、フラッシュバルブ、水道ノブ、ドアノブ、床の糞便や吐物で汚染を受けた可能性のある部位と手で触れる部分です。トイレ(洋式トイレの便座、ドアノブ、フラッシュバルブ)などの消毒では、消毒方法としては次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度1000ppm=0.1%以上)で清拭後、水拭きも有効です。しかし、消毒用エタノールでの清拭がより適しています。消毒用エタノールは次亜塩素酸ナトリウムに比べて、臭いが少なく、プラスチックや金属に対する劣化作用が小さいからです。ただし、ノロウイルスに対するエタノールの効果はやや弱いので、2度拭きでの対応が望まれます。清拭して15秒程度経過後にふたたび清拭を行って下さい。その他、次亜塩素酸ナトリウムの代用としてペルオキソー硫酸水素カリウム(ルビスタ®)もあげられます。ペルオキソー硫酸水素カリウムは次亜塩素酸ナトリウムの類似化合物ですが次亜塩素酸ナトリウムに比べ臭いや材質劣化が改善されています。
 

Q. インフルエンザウイルスの環境表面での生存期間はどのくらいでしょうか。
A.インフルエンザウイルスは、いわゆる細胞内寄生体ですので、咳やくしゃみで体外に出た場合(細胞外)は短時間しか生存できません。物の表面においてウイルスが生存可能な期間は、条件(温度、湿度、材質など)によってかなり異なります。凸凹の多い表面では1~2日、マスクやティッシュ、衣服に付いた場合は半日ほど感染力を保っているようです。そのため、飛沫感染予防策に加え、接触感染予防策が必要となってきます。インフルエンザは消毒液に対して抵抗力の弱いウイルスですので、消毒薬含浸クロスなどを用いたこまめな環境清拭や手指衛生が必要です。
 

Q. 薬剤耐性菌が検出された患者が退室した後の環境やベッドなどの清掃・消毒方法を教えて下さい。
A.医療関連感染は、医療従事者の手指を介して発生することが多く、手指の接触頻度に応じて清掃を行うことが重要です。床や壁、天井などの医療従事者や患者が直接接触する頻度が低い部分と、ドアノブやベッド柵、オーバーベッドテーブルなどの直接接触する頻度が高い部分(高頻度接触表面)とに分けて考える必要があります。高頻度接触表面は汚染されやすいため、1日に1回以上清掃を行うことが望ましいです。大切なことは、日常的に埃や汚れを取り除いておくことです。血液や体液による汚染がある場合は、消毒薬を用いての消毒が必要ですが、それ以外の場合には環境消毒は必要ありません。薬剤耐性菌感染患者が使用した病室等において消毒薬による環境消毒が必要となる場合はアルコール清拭または第4級アンモニウム塩や両性界面活性剤で清拭を行い、身体に対する毒性等がないように配慮することが必要です。
 

Q. MRSA患者の病室の清掃はどのようにすれば良いでしょうか。
A.MRSA患者の病室の環境は、患者が直接触れていない部分にも医療従事者が触れることで広範囲に付着している可能性があります。消毒用エタノールや第4級アンモニウム塩、クロルヘキシジングルコン酸塩などの消毒薬を使用することが望ましいでしょう。特に手指が高頻度に触れる部位、ドアノブ、ベッド柵、オーバーテーブル、床頭台、スイッチ、ナースコール、病室トイレ周辺などは念入りに清掃して下さい。
 

Q. MRSA患者が退室した後、床の清掃はどのようにすれば良いでしょうか。
A.床や壁面の環境が感染源となる危険性は低いので、通常の清掃では消毒薬を使う必要はありません。ただし、飛沫の飛散など汚染の可能性がある場合は、消毒用エタノールや第4級アンモニウム塩、クロルヘキシジングルコン酸塩などの消毒薬を使用して清掃して下さい。
 

Q. 全身浸出液が出ていて表皮が破綻しているMRSA検出患者のハーバード浴を実施しています。浴槽の洗浄、消毒の方法を教えて下さい。
A.表皮が破綻し浸出液が出ている場合は伝播を防止するために、ハーバード浴は最後に行う方が良いでしょう。入浴後は家庭用洗剤(お風呂用)や0.5%両性界面活性剤で強くこすり洗いし、5分間以上放置後に洗い流します。その後、十分に乾燥させて下さい。
 

Q. Clostridium difficileでtoxin陰性、抗原陽性者の環境整備に次亜塩素酸ナトリウムを使用しています。 次亜塩素酸ナトリウムの使用はいつまで続ける必要がありますか。
A.Clostridium difficile はtoxinを産生していなければ感染の危険はありません。toxin陰性ならば低水準消毒薬の環境整備で良いです。しかし、toxin陽性例や疑い例については、高頻度接触面を0.1% (1000ppm) 次亜塩素酸ナトリウムで環境清掃を行い、下痢が消失し2日程度経過して隔離解除と共に通常の清掃に戻すのが望ましいでしょう。
 

Q. 当院の透析室では週1回のシーツ交換を基本としており、同じベッドをクール毎に違う患者が使うことになります。白癬菌陽性の患者が使用した後のベッドは毎回シーツ交換が必要ですか。できれば、もっと簡易な方法はありませんか。
A.透析施設における標準的な透析操作と感染予防に関するガイドライン(第4訂版)では、「リネン類は他の環境表面と異なり、清拭による消毒が困難である。基本的に洗濯による清浄化に頼ることになり,患者ごとに交換することが望ましい。(Level 2 B)」となっております。しかし、患者ごとのシーツ交換を実施していないところも多く、ご質問のように週1回の交換を選択している施設が多いのが現状だと思います。当然、シーツが汚染した場合はその都度交換が必要になります。そのため、汚染が予測される部位(穿刺部など)には、あらかじめ防水シーツなどを敷いてリネンを保護するのも1つの方法だと考えます。白癬菌陽性の患者様に関しては、環境を介して感染を拡げる可能性がありますので、シーツ交換は患者ごとに行う必要があります。その際、埃が立たないよう注意する必要があり、シーツ交換の手間等を考慮すると、ディスポシーツを敷いて使用後に除去する方法も有効だと考えます。また、部位が特定されれば、その部位の周辺に防水シーツを敷くことでも対応可能かと考えます。さらに、足首より下の部位であれば、患者様に靴下をはいてもらう事も有効な対策であると考えます。
<参考文献>
1.透析施設における標準的な透析操作と感染予防に関するガイドライン(第4訂版).2015
http://www.touseki-ikai.or.jp/htm/07_manual/doc/20150512_infection_guideline_ver4.pdf
 

Q. ノロウイルスの汚物処理法について、以前、次亜塩素酸ナトリウムを新聞紙に含ませて汚物を処理しても効果がないと聞きました。また現在はエタノール入りのスプレータイプの消毒薬も出回っている事が多く、汚物に直接吹きかけることによりウイルスを飛沫させてしまうため危険だとも聞きました。次亜を新聞紙に含んで処理してよいのかまた、スプレータイプを使用してよいのか教えて下さい。
A.まず、新聞紙に次亜塩素酸ナトリウムを含ませて汚物を処理することについてですが、次亜塩素酸ナトリウムは木によって不活化します(注1)ので、木を原料としたパルプを使用している新聞紙に次亜塩素酸ナトリウムを含ませることで、次亜塩素酸ナトリウムの効果が減弱することが考えられます。また、新聞紙は着色してありますので、さらに効果の減弱につながると思われます。ペーパータオルなども同じく紙製品であるため、新聞紙と同様に次亜塩素酸ナトリウムを含ませることで効果が減弱することが考えられます。このことから、次亜塩素酸ナトリウムを含ませるものとしては、レーヨンやコットンなどの不織布が望ましいと考えます。もしペーパータオルなどの紙製品を清拭消毒に用いるのであれば、不活化しても十分な効果が得られるよう、次亜塩素酸ナトリウムの濃度を高くする(塩素濃度1000ppm→2000ppm)などの希釈濃度の調整が必要かもしれません。
次にスプレータイプの消毒薬の使用ですが、吹きかけることによりウイルスが飛沫することは考えにくいと思いますが、消毒薬が霧状になるスプレーでは消毒薬の接触が不均一となり、消毒薬が接触しない部分ができることが考えられます。また、スプレーすることで使用者が消毒薬を吸入することにつながりますので、スプレータイプの消毒薬の使用は控えたほうがいいかもしれません。また、消毒用エタノールはノロウイルスに対しての効果は弱いため、清拭の場合でも15秒間程度経過後に再び消毒用エタノールで2回目の清拭消毒が必要となります(注2)。ノロウイルスへの効果を考慮すると、吐物等がある場所の消毒には次亜塩素酸ナトリウムを使用されたほうがいいかもしれません。消毒薬の濃度を調整せず、そのまま使用する消毒薬の製品を考えられるのであれば、スプレーのように霧状にならない、次亜塩素酸ナトリウムを含有した泡タイプの製品もありますのでご検討ください。
<参考文献>
1.Oie S, Obayashi A, Yamasaki H, et al: Disinfection methods for spores of Bacillus atrophaeus, B. anthracis, Clostridium tetani, C. botulinum and C. difficile. Biol Pharm Bull 34: 1325-1329, 2011
2.小林寛伊 編集 新版 消毒と滅菌のガイドライン.へるす出版;2011.p.80
 

看護ケア・処置

Q. 破水後の患者のシャワー浴や陰部洗浄は可能でしょうか。(質問された病院では医師により指示が異なる)
A.破水していると外因感染しやすくなることを考えると、何もせずに不潔にしておくよりも、洗い流すことには問題が感じられません。ですが、どのような理由でシャワーを不可と指示されているのか、医師の理由を聞く必要があるでしょう。
 

Q. 尿からESBL 産生菌が検出されている場合、入浴介助には特別な対策が必要ですか。順番は最後が良いでしょうか。
A.陰部の洗浄をよく行ってから入浴するようにして下さい。 伝播を避けるためには、入浴は最後が良いと思います。腸内細菌属などグラム陰性桿菌等は水周りに繁殖しやすい菌が多いので、入浴後は浴槽洗浄を行い、十分に乾燥させて下さい。
 

Q. 尿道カテーテル留置中の患者を入浴介助する際、尿を廃棄後に尿バッグをビニール袋で覆い入浴介助を行っています。他に良い方法はないでしょうか。
A.尿バックをビニール袋で覆う目的は、尿道カテーテルの「エアフィルター」、「通気フィルター」などと呼ばれるフィルターが水濡れにより、フィルターの機能が失われることを防止するためです。フィルターの主な機能は、採尿バッグの中の圧を調節して、採尿バッグ内への尿の流出を良好に保つことにあります。フィルターの機能を失うと、採尿バッグ内への尿の流出が阻害され、尿路感染のリスクが生じる可能性はあると考えられます。また、排出口が汚染されると逆行性感染も考えられますので、入浴前には採尿バッグ内の尿を廃棄することや、入浴中はバッグを浴槽にいれず、濡れないようビニール袋などで保護することは必要だと考えます。ビニール袋の代替えに関してですが、使用後の洗浄や乾燥、その後の保管場所等を考えると、1回ごとに廃棄する方法が最善であり、コスト面も考えるとビニール袋の使用で問題ないと思います。もし、その他のものをお探しであるならば、1回ごとの使い捨てができ、防水性のあるもので対応すると良いと思います。
 

Q. 点滴を調整するとき、輸液バック注入口のシールやバイアル瓶のキャップを外した後、なぜ消毒する必要があるのでしょうか。
A.輸液類の中身は清潔でも、外袋の中までは滅菌されているわけではありません。外側は汚染されている可能性があるため、輸液バック注入口のシールやバイアル瓶のキャップを外したら、ゴム栓面をアルコール面でゴシゴシとこすって消毒してから使用します。
 

Q. 血液培養ボトルのゴム部の消毒をイソジン以外で行っています。イソジン以外での消毒でも大丈夫でしょうか。
A.ボトルの検体刺入部位(ゴム栓)を10%ポビドンヨード液または消毒用アルコールで消毒します(できる限りディスポーザブル使用で対応する)と記載されています。ただ、生体消毒薬と非生体消毒薬という分類で考えると、ポビドンヨードは生体消毒薬となります。 生体消毒薬ですが非生体消毒薬でもある消毒用アルコールでの消毒が望ましいと考えられ、個包装の消毒用アルコール綿で清拭消毒が推奨されます。
 

Q. アルコールに対して過敏な方への採血時の消毒はベンザルコニウムで良いでしょうか。
A.ベンザルコニウム塩化物は逆性石けんであり、基本的には非生体向けの消毒薬で、主に家具、床などノンクリティカルな環境の消毒に用います。しかし、日本においてはクロルヘキシジングルコン酸塩の粘膜適用は禁忌となっているため、皮膚粘膜に対する刺激性や臭気の少ない実用濃度のベンザルコニウム塩化物などの逆性石けん液を粘膜の消毒に適用する場合があります。これまでに、微生物で汚染された逆性石けん液を膀胱鏡あるいは心臓カテーテルに使用したために感染症を引き起こしたという報告や静脈カテーテル挿入部の皮膚消毒に汚染された綿球を使用したために敗血症を引き起こしたという報告があるため、生体への一般的な消毒としてはおすすめしません。アルコールに対して過敏な方の採血時の消毒には、クロルヘキシジングルコン酸塩液を使用されてはいかがでしょうか。クロルヘキシジンをグルコン酸塩とすることによって水溶性としたビグアナイド系化合物で、皮膚に対する刺激が少なく、臭気がほとんどない生体消毒薬(antiseptics)です。各社から単包の製品が発売されており、アルコール過敏症の方へ使用する際に管理も簡便だと思います。
 

Q. ノロウイルス検査のために便を検体として採取したいのですが、小児のようにオムツに排泄する場合うまく採取ができません。何か良い採取方法がありますか。
A.オムツに吸収されずに採取するために、オムツの臀部接触面にラップやビニール袋を切って貼るなどしてはどうでしょうか。ノロウイルスに対して、特異的な治療薬はありませんので、流行時期である、または、その時期に周囲で急性胃腸炎症状がある人がいる場合などは積極的にノロウイルスを疑い、隔離と標準予防策と接触予防策の徹底を行うことが基本となります。また、各施設で導入されている検査キットにもよりますが、スワブでの検体採取が可能なものもありますので、ご検討されてもいいかもしれません。
 

Q. MRSAが鼻腔から出た場合、バクトロバンで処置し、咽頭からの場合はネオヨジンで含嗽しています。 含嗽が出来ない方に対しては、緑茶ネブライザーを施行していますが、緑茶ネブライザーは効果はあるのでしょうか。
A.病院で調製される緑茶には殺菌効果はないとされています。そして緑茶にはアミノ酸や多糖類などの成分が含まれており、これらは細菌の繁殖を促進します。確かに実験室レベルではカテキン類のMRSAに対する抗菌効果は確認されているようですが、現時点での臨床への応用は無理1)と判断されています。次に、MRSA除菌の必要性についてですが、すべての保菌者に対する除菌は、その目的が何であるのかを考える必要があります。除菌方法として確立しているものはムピロシン軟膏(商品名:バクトロバン®)ですが、限定的な状況での使用が推奨されています。感染症を起こしている場合は、適切な抗MRSA薬による治療が必要です。院内拡大防止を目的としているのであれば、標準予防策と接触予防策の徹底に力を入れる方が最善と考えます。
 

Q. 尿道カテーテルを留置している患者に尿混濁などがみられた場合、医師から膀胱洗浄の指示が出ますが、膀胱洗浄は必要でしょうか。
A.尿道カテーテル関連尿路感染を防止するためには、尿道カテーテルの閉鎖システムを保つことが重要になります。膀胱洗浄を行うためには、閉鎖システムを開放する必要が出てきます。開放してしまうことで、細菌が回路内へ侵入する機会を作ってしまいます。さらに、膀胱洗浄は、カテーテル内の混濁尿や浮遊物を膀胱内に入れることにより、感染の原因となることが考えられます。2009 年「カテーテル関連尿路感染の予防のためのガイドライン」ではカテーテルの閉塞が予測されない限り膀胱洗浄は推奨しないとされています。膀胱洗浄が必要な場合として、血塊や浮遊物等でカテーテルが閉塞した場合や、泌尿器科術後で血塊などによりカテーテルの閉塞の可能性が高い場合等に限定したほうが良いと考えます。その場合も、無菌操作で実施し、洗浄液は滅菌した生理食塩水を用います。各施設で、感染のリスクが高くなることを踏まえて、膀胱洗浄を実施するケースを取り決めると良いと思います。
 

Q. CVカテーテルにカテーテルプラグは付けた方が良いのでしょうか。もし付けた場合、どれくらいの割合で交換すれば良いのでしょうか。輸液セット交換時に毎回交換したほうが良いのでしょうか。
A.接続部が増えることにより感染の機会が増える為、輸液ラインはできるだけ一体型を用います。薬物注入、静注投与、血液検体採取に使われる三方活栓は、微生物にとって血管アクセスカテーテルと静注輸液の侵入口と言えます。そのため、カテーテルプラグ(クローズド輸液システム)は輸液回路が開放されることがないため、感染防止に寄与すると言われています。血管内留置カテーテル由来感染の予防のためのCDCガイドラインでは、ニードルレス血管内留置カテーテルシステムについて少なくとも点滴セットと同頻度の程度で交換する、72時間以内の交換はメリットがないということが言われています。しかしながら、カテーテルプラグについては、品質、耐久性も関連する為、血流感染防止の面からのメーカー推奨を確認し対応することが望ましいと考えます。操作性、煩雑性から汚染させるリスクが上がることを考慮し閉鎖性を維持できる方法がより良いと考えます。閉鎖式カテーテルを開放させることになる為、可能な限り頻回に交換はしないが、カテーテルプラグの汚染が見られたら交換することを原則とすることが妥当ではないかと考えます。
 

Q. 胸腔ドレーンなどのドレーン刺入部は、消毒してガーゼを当てた方が良いのでしょうか、それともフィルム剤の貼付が良いのでしょうか。また交換の目安はどのくらいでしょうか。
A.消毒液は正常皮膚に使用すべきで、創面には直接使用しないとされています。好中球や繊維芽細胞、ケラチノサイトなどの創傷治癒に必要な因子に対して消毒薬が有害となるからです。皮膚が正常で発汗が多くなければ滅菌透明ドレッシング材を7日ごとに交換します。患者が発汗症である場合または部位が出血または、滲出している場合、これが解決されるまでガーゼドレッシングを使用し原則的に毎日交換します。
 

Q. 内服時の水について、カルキ抜きのため、夜、水をコップに入れて翌朝の内服時に飲んでもらっています。感染面から問題ないでしょうか。
A.どのくらいでカルキが抜けるかわかりません。 水道水は塩素消毒が行われていますが、汲み置きしておけば塩素濃度は低下するので、感染面からは勧めません。
 

Q. インフルエンザの患者が認知症で徘徊します。対応方法を教えて下さい。
A.自宅への退院が可能であれば、自宅退院か一時退院が望ましいでしょう。継続入院が必要であれば、インフルエンザのウィルス排出期間を個室で管理してはいかがでしょうか。あるいは、接触する患者にインフルエンザのハイリスク患者がいるのであれば、抗インフルエンザ薬の予防投与についても検討してみる必要があると思います。人員が確保できるのであれば、インフルエンザのウィルス排出期間中は他の患者と接触しないように、職員が付き添う方法も手段の一つかと思われます。
 

Q. 当病棟ではお茶をコップに入れて数時間前からテーブルに置いています。また、お茶の場合は午後から水分補給をしてそのまま同じコップを夕食時に使用しています。感染、落下菌など心配はないでしょうか。
A.病院内の環境汚染が患者に日和見感染を起こす可能性はありますが、環境に存在する微生物が患者に感染を起こす要因は、
1)病原微生物が一定量存在し、
2)その菌の感染を起こす能力が高く、
3)微生物が患者まで達する経路が存在し、
4)なおかつ患者の易感染性がある、
これらの全ての条件がそろって感染が起きるといわれています。
このように環境は感染を起こすリスクは低いため,感染経路の遮断を確実に行えば,通常の環境から感染する可能性はありません。容器に唾液がついていますので、口腔内常在菌が繁殖していると思われます。同じように易感染性の患者様であれば日和見感染を起こす可能性があります。健康な成人が感染を起こす可能性が低いと思いますが、衛生的に飲み終えた容器は洗って保管することをおすすめします。
 

Q. 個人専用のコップを24時間使用している患者がいるのですが、水を足すときには洗浄しています。消毒をした方がよいのですか。コップ使用目的は飲水で、24時間蓋つきのコップをベッド上において使用しており、飲み干した時点でコップを洗浄し水を足しています。
A.口をつけて飲んだ後のコップの水の細菌増殖推移のデータは見つけることができませんでしたが、口をつけて飲んだ後のペットボトルの麦茶を常温保存し、ボトル内の細菌増殖推移を調査したデータがあります。1mlあたりの一般細菌数が、2時間後に870個、4時間後に10000個、6時間後に18000個、8時間後に33000個に増殖するとのことです。(株式会社エフシージー総合研究所 環境科学研究室 実験データより)
口腔内常在菌や口腔周囲の皮膚常在菌が増殖していると考えられますが、これらが食中毒の原因菌となることもありますので一度口をつけた常温保存の水やお茶は2時間以内を目安に交換することをお勧めします。また、個人専用で使用する食器類は必ずしも消毒の必要はありません。個人専用であれば洗浄後、乾燥で十分です。共用で使用する食器は食品衛生法で消毒が義務付けられていますが、その際は、洗浄後0.01%の次亜塩素酸ナトリウムに1時間浸漬して消毒してください。ご質問者様の状況から考えますと、
① 口渇を訴えられた時に洗浄乾燥した個人専用のコップに飲料水を入れます。
② 口をつけて飲まれた後、飲料水を入れたままベッドサイドに保管します。
③ 保管したコップの飲料水は2時間を目安に廃棄します。
④ コップを洗浄・乾燥して清潔に保管します。
この①~④を繰り返すことで、清潔な飲料水管理が可能と考えます。
 

Q. 当院は慢性期病院で寝たきりで経管栄養の患者さんが多く、朝の口腔ケアに時間がかかることから、深夜2~4時位に水道水をコップに準備しています。しかし水を5時間も置くと菌が増えるのではないかと指摘がありました。
A.口腔ケアの水は、ケアを実施する直前での準備をお勧めします。理由としては、グラム陰性桿菌汚染の危険性があるからです。環境に存在する菌である緑膿菌やシトロバクターなどのグラム陰性桿菌は水気を好み、常温でも短い時間で容易に増殖します。これらのグラム陰性桿菌は高齢者の誤嚥性肺炎の原因となります。全国的に、グラム陰性桿菌での院内アウトブレイクの報告もあります。口腔ケアの水を数時間前に準備をする事は、グラム陰性桿菌汚染の危険性が高く、それが原因での誤嚥性肺炎を引き起こすリスクがあると考えられます。口腔ケアの水を最も安全な状態で提供するとすれば、ケア直前に準備することが望ましいです。水道水には法律で定められた濃度の塩素剤が加えられており、その濃度が持続する期間は安全です。しかしながら、気温や保存方法、容器の汚染で残留塩素濃度が低下し、汲み置いた水が時間とともに汚染されることが十分に考えられます。「保管場所を陽が当たらない場所にする」、「口腔ケアに使用する容器には蓋をする」、「容器と蓋は使用ごとに適切に洗浄し、乾燥させたものを使用する」、ということが実現可能であれば、事前に準備されても可能だとは考えます。どちらの方法が自施設で実現可能か各施設で検討されてください。
 

Q. 当院は朝の6時に患者へお茶を配り、10~11時位までプラスチックの容器に移し替えてお茶を常温保管しています。夏の時期だと食中毒が心配です。
A.「大量調理施設衛生管理マニュアル」を参考に回答します。施設で提供するお茶などの飲料も食品(給食などの食事)と同等の取り扱いを行うことが望ましいと考えます。沸騰したお湯でお茶を作成しても、その後に容器や手の汚染など何らかの理由で菌が入ってしまった場合、時間の経過とともに細菌繁殖すると考えられます。そのため、作成したお茶はその都度使いきる、もしくは保存時間を短くするなどの方が、食中毒のリスクは低くなります。お茶を保管する場合は、食中毒の原因となる菌を増やさないために、清潔な容器を用いて清潔な状態で保管すること、また適正な温度管理を行なうことが必要です。
「大量調理施設衛生管理マニュアル」においては、『器具、容器等の使用後は、全面を流水で洗浄し、さらに80℃、5分間以上の加熱又はこれと同等の効果を有する方法で十分殺菌した後、乾燥させ清潔な保管庫を用いるなどして衛生的に保管すること』、また、『調理後直ちに提供される食品以外の食品は、食中毒菌の増殖を抑制するために、10℃以下又は65℃以上で管理することが必要である』とされています。上記を参考にしますと、常温保存ではなく冷蔵庫での保存が良いのではないでしょうか。
 

Q. 氷枕を廃止してアイスノンに変更している病院がありますが、なぜアイスノンに変更している病院が増えてきているのでしょうか。
A.製氷機内のような低温環境でも微生物は存在することができ、汚染された手指や器具で氷を取り出すことで、製氷機内がさらに汚染される可能性があります。そのため「医療施設における環境感染管理のためのCDCガイドライン」では製氷機、氷について、「手で直接氷を触らないこと」「氷をとる前に手を洗うこと」「氷の貯蔵庫は日常的に清掃・消毒すること」「氷が入った容器内にスコップを入れておかないこと」と勧告しています。製氷機を適切に管理するためには、定期的な製氷機のメンテナンスと、取り扱うスタッフの正しい知識が必要です。また、氷枕自体の水滴や、留め具が外れて水が漏れる可能性、使用後の乾燥が不十分であることで緑膿菌等の繁殖による汚染の危険性が高くなります。アイスノン等の保冷材は、使用後に清拭消毒による簡便で衛生的な管理が行えます。コスト面でも保冷材は、保冷材と冷凍庫だけで済みますが、氷枕では、氷枕と製氷機、水、留め具などがあり、物品を清潔に管理するためのコストもかかってしまいます。衛生面と取り扱うスタッフの業務削減やコスト面を考えてアイスノン等の保冷材に変更している医療施設が多くなってきています。
<参考文献>
1.医療施設における環境感染管理のためのCDCガイドライン
 

職員教育・ICT活動

Q. 吐物処理対応セットを導入しましたが、スタッフへの保管場所と使用方法の周知が困難です。対応方法を教えて下さい。
A.保管場所は、部署のスタッフ自身に検討してもらうと周知しやすいでしょう。使用方法はマニュアルに載せて、感染性胃腸炎の流行時期にマニュアルに沿って説明をしてはいかがでしょうか。
 

Q. 何度もマスク着用方法を指導しても「鼻が低いから」となかなかきちんと出来ていない職員への教育についてお教え下さい。
A.「鼻が低いから」マスクを使用しないといわれる理由のひとつには、マスクのサイズが合わないことが考えられます。しかし、現在、ほとんどのマスクにはノーズピースがついており、それぞれの鼻の高さにあわせることが出来ます。サイズがあわない時には、顎の部分がきちんと覆えていなかったり、大きすぎてマスクがたわんで装着できないこともあります。必要があればサイズの違うマスクの導入を検討されてもよいかと考えます。また、何度もマスク着用方法を指導してもということですので、面倒で装着しないということも考えられます。個人防護具の着用は標準予防策の中でも重要であり、医療従事者を血液や体液由来の病原性微生物からの曝露するリスクを低減する目的と、医療従事者の呼気に含まれる微生物から患者や他の医療従事者を守る目的があります。標準予防策は全ての人の汗を除く血液・体液・分泌物・粘膜・傷のある皮膚は感染性があるものとして扱うという感染対策の基本的は考え方です。そのことを十分に理解してもらえるよう、着用目的と場面を具体的に説明したり、写真を入れたポスター等による繰り返しの指導が必要だと考えます。
 

Q. 手荒れがひどく皮膚科に通院している職員がいます。毎回の流水と石けんでの手洗いも難しく、アルコール手指消毒剤も使えません。手指衛生についてどのように指導したら良いでしょうか。
A.手荒れにより黄色ブドウ球菌等の定着が起こり、手指衛生を実施しても細菌が減少しにくくなること、また、刺激性の問題から適切な手指衛生の遵守ができない状況に陥り、患者や自分自身の感染の危険性を高めてしまいます。また、毎回の流水と石けんでの手洗いも難しいことから、適切なタイミングでの手洗いも実施できていないことが予想されるため、清潔操作や処置などの介助等は避けた方が良いと考えます。また、手荒れが改善するまでは、手指衛生などによる外的刺激をできるだけ避ける必要があります。緊急処置として、綿手袋の上にディスポーザブルの手袋を着用する方法もあります。綿手袋で皮膚を外的刺激から保護し、2枚目のディスポーザブル手袋を交換することで手指衛生の回数を減らします。もちろん原則として、手袋は手指衛生の代用にはなりません。しかし、手指衛生が十分にできないまま汚染した手指で医療行為を行う事のリスクと比較して、手荒れが改善するまでの一時的な対処方法として検討できると思います。手荒れの原因は、アレルゲンの問題や手指衛生材料の問題、手技の問題など様々です。そのため、手荒れの改善に最も重要なことは、原因を特定し、それを取り除けるようにしていきます。また、日頃より、施設職員への手荒れ予防対策を実行していくとともに、手荒れが起きた職員への精神的配慮も必要と考えます。
 

Q. スクラビング法からラビング法へ変えたいのですが、なかなか変えることができません。どのように指導したら良いでしょうか。
A.手術時手洗いの目的は、通過菌を確実に除去し、皮膚常在菌を減少させることであり、たとえ、手術時に手袋が破損したとしても術野が汚染される細菌数を最小限とすることです。すなわち、手術部位感染の予防といえます。スクラビング法とラビング法との比較において、手指付着菌数および手術部位感染率において有意差は認められていません。そのため、手術時手洗いでは、どちらを選択しても問題はありません。しかし、手技の習得が容易であり手技の個人差が少ないこと、手荒れの防止にも有用であること、滅菌タオルや滅菌ブラシ(爪の先のみ)等のコストが削減できること等から、ラビング法を選択している施設が増えてきています。両者のメリット、デメリットを含めて、関係者との会議で議論を重ねていく必要があります。その中で、反対をしている要因を把握し、その要因に対しての説明を行いながら、病院の方針として、変更に向けた取り組みを行っていくことが大切だと思います。
 

Q. ラウンド結果を効果的に報告する方法を教えてください。
A.感染対策は目に見えないことに対して対応するため、ラウンド結果などは視覚的に分かりやすいようにまとめると相手に伝わりやすいでしょう。
・チェック内容の遵守率の一覧もしくはグラフ化
・改善が必要なところは写真を撮り結果に残す  など
 

職業感染対策・予防接種

Q. 針刺し切創・粘膜暴露が起きた場合、HIVの検査が外注であるため速やかな予防投与が困難です。夜間も含め事故が起きた場合、対応をどうしたら良いでしょうか。
A.熊本県では、一般医療機関や訪問看護先で、針刺し切創・皮膚粘膜曝露事象が発生した場合のHIV 感染を防止するため、「熊本県針刺し切創・皮膚粘膜曝露後のHIV感染防止体制整備事業」を実施しており、県内6医療機関に抗HIV薬を配置しています。
熊本県健康危機管理課のホームページに「針刺し切創・皮膚粘膜曝露後の抗HIV 薬服用マニュアル」が掲載されています。針刺し切創・皮膚粘膜曝露事象後のHIV 感染を防止するためには、事象発生後できるだけ早く抗HIV 薬の服用を開始する必要があり、マニュアルでは被汚染者が専門医を受診できるまでの緊急対応用として作成されているため参照して下さい。(http://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/life/1069007_1156048_misc.pdf
 

Q. 数種類のワクチンを接種する場合、どのくらいの間隔を空ける必要がありますか。
A.厚生労働省発表の予防接種ガイドラインには、不活化ワクチン及びトキソイドを接種した場合は6日間以上の間隔を空けて、生ワクチンを接種した場合は、27日間以上の間隔を空けて次のワクチンを接種すると記されています。ただし、医師が必要と認めた場合には、2種類以上の異なるワクチンの同時接種を行うことが可能です。
 

Q. インフルエンザに関して、予防投薬対象者の基準はありますか。
A.日本感染症学会提言2012では、「最初はインフルエンザ発症者の同室者に対して予防投与する。複数の病室に渡ってインフルエンザ患者が発生した場合には、病棟全体やフロア全体での予防投与を考慮する必要がある。」とされています。高齢者施設では、「インフルエンザ様の患者が2~3日以内に2名以上発生して、1名でも迅速診断で陽性と診断されたら、フロア全体に予防投与の開始を考慮する」とされています。しかし、曝露後の予防投与は保険適応ではないため、患者への説明と同意、費用負担方法については施設で検討しておく必要があります。
また、タミフルの添付文書には以下の様な記載があります。
原則として、インフルエンザ感染症を発症している患者さんの同居家族又は共同生活者である下記の方のみ病院での処方が可能です。
1. 高齢者の方(65歳以上)
2. 慢性呼吸器疾患又は慢性心疾患の方
(気管支喘息、慢性気管支炎、慢性肺気腫、肺線維症、肺結核、心不全、心弁膜症、心筋梗塞など)
3. 代謝性疾患の方(糖尿病等)
4. 腎機能障害の方(腎機能の低下により薬の量が違います)
 

Q. B型肝炎ワクチンを接種しても抗体価が上らない場合の対応方法を教えて下さい。
A.B型肝炎ワクチンは初回、1ヶ月後、6ヶ月後の3回を1シリーズとします。1シリーズ終了後の1ヶ月後に抗体検査を行い、抗体価上昇が確認されなかった場合は、もう1シリ
ーズの接種が推奨されています。2シリーズでも、抗体の陽転化が見られなければ、それ以上接種しても陽転化率は低いため、ワクチン不応者として対応していきます。その際は、血液・体液曝露に際して厳重な対応と経過観察を行い、抗体価が獲得できない者に関して、HBVの曝露があった場合は、抗HBs人免疫グロブリンを、直後と1か月後の2回接種が推奨されています。また、現在、B型肝炎ワクチンは2種類の製品が出ており、1シリーズの接種で抗体が陽性にならなかった場合は、種類の異なるワクチンを接種することも1つの方法です。
 

Q. 医療従事者で、過去にB型肝炎ウイルスワクチンを受けて抗体を獲得した場合、抗体の定期的なチェックやワクチンの再投与の必要はないのでしょうか。
A.日本環境感染学会が平成26年9月25日に発行した「医療関係者のためのワクチンガイドライン第2版」で、3回のB型肝炎ワクチン接種後1~2か月後にHBs抗体検査を行い、10mIU/mL以上であれば免疫獲得と判定し、免疫獲得と判定された場合は、その後の抗体検査や追加のワクチンは必要でないとされています。しかしながら、平成27年9月30日に国立大学医学部附属病院感染対策協議会 職業感染対策作業部会がじほう社より発行した「職業感染対策Q&A」にも記載されているように、免疫不全がない成人のHBs抗体低下時のワクチン追加接種の必要性に関してのエビデンスに関して十分ではなく、2015年に施行された国公立大学医学部附属病院のアンケートでも対応は均一ではなく、定期的に抗体価を測定している施設もあれば、ガイドライン通りで対応されている施設もあり、統一した指針がないのが現状と思われます。いずれにしてもHBs抗原陽性血暴露時に適切な対応を行うことが重要であり、被曝露者のHBs抗体を測定し、十分な免疫力を有する場合(HBs抗体価10mIU/mL)は無処置で、HBs抗体が10mIU/mL未満の場合は感受性者としてHBIGやワクチンを接種される場合が多いようです。また、ワクチン接種後経年的に抗体価が基準値以下に低下した者に対して、追加接種を行うことは被接種者に不利益となる事は基本的にないので、希望があった場合に各施設の判断で追加接種を実施することに特に問題はないと思われます。
 

就業

Q. 職員が手足口病に罹患しました。出勤停止の必要性について教えて下さい。
A.手足口病の特徴として、潜伏期は3-5日で、感染は患者の咽頭からの飛沫、便中に排泄されたウイルスからの経口感染、水泡などから起こります。大人に関して法的には就業制限はありません。また、厚労省の保育園のガイドラインでは発熱がなく(解熱後1日以上経過し)、普段の食事ができることとなっています。感染性は罹患後1週間が高いので、可能ならば1週間の就業制限が妥当と考えます。また、唾液へのウイルスの排泄は通常1週間未満ですが、便中へのウイルスの排泄は2~4週間続くため、手指衛生を確実におこなうよう指導して下さい。
 

Q. 職員が手足口病に罹患しました。熱は下がりましたが手に水泡が残っています。手袋をすれば患者と接触しても良いでしょうか。
A.水疱内容物にもウイルスが存在します。手袋を着用することで接触感染のリスクは低くなると考えますが、手袋は万能ではありません(ピンホールがあることもある)ので、絶対に感染しないわけではありません。水疱が痂皮化するまでは、接触しない方が良いと考えます。手足口病はヒト-ヒト伝播は主に飛沫感染で起こり、また、便中に排泄されたウイルスや水疱内容物による接触感染が起こります。 便中へのウイルスの排泄は長期間にわたり、症状が消失した患者も2〜4週間にわたって感染源となります。そのため、手指衛生の徹底と飛沫感染予防(咳エチケット)のためのサージカルマスクの着用が必要です。
 

Q. 職員が帯状疱疹を発症しました。水泡部分は洋服で隠れていますが、患者と接触しても良いでしょうか。
A.帯状疱疹は水痘ウイルスによって起こり、水痘に罹患したことがある場合やワクチン接種したことがある場合には神経節に潜伏した状態で、免疫が低下したときに活性化して発症します。そのため、通常は他者に感染することはありません。しかし、水痘に罹患していない小児や免疫不全患者へは感染させる恐れがあります。また、罹患歴がない妊婦では全身性の感染を起こしたり、重症化する危険があります。限局した帯状疱疹で、水疱部分が被覆できるのであれば勤務も可能かと思いますが、易感染患者がいる病棟などでは接触は避けることが必要と考えます。各施設での取り決めが必要です。
 

Q. ワクチン接種している同じ病棟の職員2名が相次いでインフルエンザA型にかかりました。 患者は今のところ同一病棟で1名発症しています。 職員の職場復帰時期はどのように判断すれば良いでしょうか。
A.学校保健安全法では、解熱後2日 を経過するまで、かつ発症から5日間は出席停止とされています。これは、あくまでも学校で感染症を広げないための法律ですが、その期間 はウイルスの排泄が多いと考えられます。熊本県内の病院の就業禁止期間は解熱後2日のみとしているところもあれば、発症から5日間(タミフ ル服用)と解熱後2日後を基準として発症後5日までは休み、6日目(解熱してから2日以上たっていれば)から勤務可能というところなど病院によって様々です。入院患者さんのリスク等も含め、検討されることをお勧めします。
 

Q. 家族がインフルエンザを発症した場合、職員は勤務しても良いでしょうか。
A.家族がインフルエンザを発症した場合、家庭内での感染は市中の2~3倍といわれています。そのため、勤務を続行する場合はインフルエンザの潜伏期間である1~3日程度はサージカルマスクを装着し、発熱などがないかを経過観察するなどの対策を行う必要があります。また、発熱や倦怠感、咳、鼻汁などのインフルエンザ様症状に注意し、症状が出現した場合は、速やかに就業を控えるなどの対策も必要です。各施設での取り決めが必要となります。
 

在宅指導・家族指導

Q. 在宅で吸引を必要としている患者がいますが、気管切開部からの吸引後、続けて鼻腔内吸引をしたり、吸引器やネブライザー、鑷子にカビが生えていることもあります。 家族への吸引手順や物品管理指導をどのようにしたら良いでしょうか。
A.在宅で家族への指導は大変難しいことです。 物品の制限やマンパワー不足、コストの負担などが出てくるために病院と同様には行えないと思います。
まず、処置の必要性、方法(手順)をイラスト入りでパンフレットのように作成し、看護師の実施方法を見てもらい指導してはどうでしょうか。 その後は家族の実施状況を確認する方法が良いと思います。 管理方法の一つの例を示します。
【吸引の方法および吸引チューブの管理方法】
1本の気管内吸引チューブで気管内と鼻腔内を続けて吸引する場合は、気管内を吸引した後に鼻腔内吸引をするように指導をお願いします。
気管内吸引チューブは原則として使い捨てとすることが望ましいですが、経済的理由から繰り返し使用することもやむ得ない場合がありますので、繰り返し使用するのであれば、以下のように指導をお願いします。
① 使用後の吸引チューブ外側をアルコールガーゼで清拭する。
② 粘液等の除去目的で滅菌水を吸引する。
③ 8〜12%エタノール含有0.1%塩化ベンザルコニウムへ浸漬する。
④ 使用前には消毒薬除去の目的で滅菌水を吸引する。
※浸漬消毒液、滅菌水は1日2回以上交換する。
【ネブライザーの管理方法】
超音波、ジェットともに洗浄・消毒は少なくとも24時間毎に行うことが推奨されています。 超音波ネブライザーは0.01% (100ppm) 次亜塩素酸ナトリウムへ1時間以上の浸漬消毒を行います。ジェットネブライザーは熱水浸漬(65℃、2分以上、70℃、30秒以上、80℃、5秒以上)を行います。熱水浸漬ができない場合は使用の都度、洗浄後に乾燥させます。
 

インフルエンザ・鳥インフルエンザ

Q. インフルエンザ感染症が特定の病棟の入院患者および職員に発生した場合、どのタイミングで保健所に報告したら良いのでしょうか。
A.2011年の厚生労働省医政局指導課長通知「医療機関等における院内感染対策について 」の中に「医療機関内での院内感染対策講じた後、同一医療機関内で同一菌種による感染症の発病症例が多数にのぼる場合(目安として10名以上)、または当該院内感染事案との因果関係が否定できない死亡者が確認された場合においては、管轄する保健所に速やかに報告すること。また、このような場合に至らない時点においても、医療機関の判断の下、必要に応じて保健所に連絡・相談することが望ましいこと。」との記載があります。それぞれの施設でアウトブレイクの基準を感染対策チーム等で協議し決めておく必要があります。
 

Q. 季節性インフルエンザの感染対策として、確立したものがありますか。(面会制限基準や病棟閉鎖基準など)
A.手指衛生の励行、呼吸器衛生/咳エチケット、流行期における不要不急な面会や外出の制限、患者・家族への適切な説明、職員の健康状態の把握と早期対応、職員へのワクチン接種などが重要です。
面会制限基準や病棟閉鎖基準などについては明確なものはなく、各施設での取り決めが必要です。 面会者についてCDCは、病院に入る前の呼吸器症状のスクリーニングや、手指衛生や咳エチケットの教育を行うことについて方針を作成することを推奨しています。
【厚生労働省新型インフルエンザ治療ガイドライン・手引きなど】(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/kenkyu.html
【診療所、小規模・中規模病院向け】
新型インフルエンザ等発生時の診療継続計画作りの手引き
【大規模・中規模病院向け】
平成25年政府行動計画・ガイドラインを踏まえた「医療機関における新型インフルエンザ等対策立案のための手引き」
2014年06月06日掲載「成人の新型インフルエンザ治療ガイドライン」などを参考にされてはいかがでしょうか。
 

Q. 鳥インフルエンザの潜伏期間はどのくらいでしょうか。
A.鳥インフルエンザ(H5N1)の潜伏期間は、厚生労働省ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou02/)によると、1~10日(多くは2~5日)とされています。鳥インフルエンザ(H7N9)の潜伏期間は、国立感染症研究所HP (http://www.nih.go.jp/niid/ja/diseases/a/flua-h7n9/2273-idsc/3550-hospital-infection.html)によると、「今のところ不明であるが、動物との接触歴の詳細が確認された23例では潜伏期が中央値で6日(範囲1~10日)であった」と報告されています。
 

Q. 鳥インフルエンザはA型と思って良いでしょうか。迅速キットでB型の場合、鳥インフルエンザから除外して良いでしょうか。
A.鳥類に対して感染性を示すA型インフルエンザウイルスのヒトへの感染症が、鳥インフルエンザです。また、鳥インフルエンザの原因となるA型インフルエンザウイルスを一般的に、鳥インフルエンザウイルスと呼んでいます。ただし、A型とB型の重複感染の報告もあります。また、米国疾病対策センターは、呼吸器からの検体を用いる市販のインフルエンザ迅速診断テストによる検査では、「鳥インフルエンザウイルスまたは変異したA型インフルエンザウイルスを検出できない場合がある」としています。診断キットの精度は100%ではないため、確定診断では各地方衛生研究所での検査が必要となります。
 

Q. 鳥インフルエンザは人へ感染しますか? 感染経路は何でしょうか。空気感染対策は必要でしょうか。
A.現時点では、鳥において高病原性を示す鳥インフルエンザウイルスが鳥からヒトに感染するのは、感染した鳥またはその死骸や内臓、排泄物等に濃厚に接触した場合に限られています。また、鳥インフルエンザウイルスがヒトからヒトに感染するのはきわめて稀であり、感染の事例は、患者の介護等のため長時間にわたって患者と濃厚な接触のあった家族の範囲に限られています。
鳥インフルエンザに対する院内感染対策としては、標準予防策に加え、接触予防策・飛沫予防策が必要と考えられています。しかし、まだ知見に乏しいため、より確実に感染対策をとるため、吸引などエアロゾルが発生するような処置や検査を行う場合には空気感染予防策を追加することが妥当と考えられています。
詳細は鳥インフルエンザに関するホームページをご覧下さい。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou02/index.html
 

Q. 鳥インフルエンザの治療薬および予防投薬の薬剤がありますか。薬剤名と投与量を教えてください。
A.WHOは、新型インフルエンザに対して、ノイラミニダーゼ阻害薬による治療を推奨しています。 鳥インフルエンザの対応は新型インフルエンザに準ずるため、オセルタミビルリン酸塩(商品名:タミフル)、ザナミビル水和物(商品名:リレンザ)、ラニナミビルオクタン酸エステル水和物(商品名:イナビル)、ペラミビル水和物(商品名:ラピアクタ)などが挙げられます。ただし、どのような型が発生するか不明なため、抗インフルエンザウイルス薬の臨床効果、適正な投与量、投与期間ははっきりしていません。曝露後予防投薬に関しても同様です。
 

その他

Q. MRSA保菌患者からは感染は伝播しないのでしょうか。
A.保菌者であっても周囲の患者への感染伝播のリスクは同じです。 患者の治療を行う上で、保菌か感染かの区別は重要ですが、感染対策上、周囲への伝播リスクには変わりはありません。
 

Q. 標準予防策では、汗はなぜ感染源にならないのでしょうか。
A.エボラ出血熱を代表として汗が感染源となり得る場合があります。また、汗に全く病原体が含まれていないとは言い切れませんが、一般的な医療施設では汗によって感染が成立したという事例はありませんので、汗は感染源として扱いません。
 

Q. 結核感染(疑い)で入院になった場合、隔離を実施しますが、殺菌灯ロッカーは有効でしょうか。有効でなければすべて使い捨て使用としての退出でいいでしょうか。
A.殺菌灯ロッカー(紫外線)は、紫外線が当たっている部分の表面しか殺菌されません。「医療施設における消毒と滅菌のためのCDCガイドライン2008」より、紫外線殺菌灯の使用を支持するデータはない。また、紫外線による皮膚紅斑および角結膜炎の発生報告などがある。とあります。また、殺菌灯ロッカーでのN95マスクの保管は、紫外線によってゴム紐が劣化し適切な着用ができなくなる恐れもあります。これらのことより、紫外線殺菌灯の使用はお勧めされません。結核は空気感染をしますので、使用する個人防護具はN95マスクになります。N95マスクの表面に捕集された結核菌は、そこから遊離することはありません。以下の2点が確保できれば再使用できます。
①N95マスクの使用期限を超えないこと。メーカーや種類によって異なります。ゴム紐やノーズクリップなどの性能劣化を考慮し、一般的には製造から3~5年とされているようです。②形状が崩れておらず、フィットテストで漏れがないこと。N95マスクは耐油性ではありません。マスクには油性マーカーで名前を書かず、ゴム紐や保管袋に書いて保管します。マスクが湿気を持っていると何らかの病原体が繁殖する恐れがありますので、乾燥するように紙袋で保管してください。化粧や汗などで汚染することを考慮し、3日や5日間など期間を定めて再利用されている施設もあります。(使用期限時間が記載されている製品もありますので、使用されているN95マスクの説明文書をご確認下さい。)リネンや衣服に関して、喀痰が洋服などに付着した際は、ティッシュでしっかり拭き取り通常の洗濯で問題ありません。
 

Q. 当院は高齢者(平均年齢は78~80歳)が多く、老人病院や施設を廻ってこられる方が大半です。このような環境の場合、多剤耐性菌によるアウトブレイクを疑う基準と終息判断の基準はどのように定めればよいのでしょうか。
A.アウトブレイクとは、耐性菌や感染症が通常発生しているレベル以上に発生することを指し、特定の微生物検体分離が通常より多く発生した場合、互いに関連する医療関連感染が2例以上発生した場合、通常発生しないような特殊な病原体が1例でも発生した場合といった状況から考えます。厚生労働省の通知では「以下の基準を満たす場合には、アウトブレイクの判断に関わらず、アウトブレイク時の対応に準じて院内感染対策を実施すること。1例目の発見から4週間以内に、同一病棟において新規に同一菌種による感染症の発病症例が計3 例以上特定された場合、あるいは、同一機関内で同一菌株と思われる感染症の発病症例が計3例以上特定された場合を基本とすること。ただし、CRE、VRSA、MDRP、VRE及び多剤耐性アシネトバクター属の5 種類の多剤耐性菌については、保菌も含めて1 例目の発見をもって、アウトブレイクに準じて厳重な感染対策を実施すること。」と記載されており、こちらも参考にされてください。耐性菌の持込が多い中での、アウトブレイクの判断というところでのご質問であったと思いますが、可能であれば持込と院内での耐性菌検出を分けて(例:入院前または入院2日目までの検出を持込、入院後3日目深夜以降の検出を院内と定義する)、院内発生の耐性菌検出率(検出数)を把握されておくと、ご施設の耐性菌が通常発生しているレベルが明らかとなり、アウトブレイクを早期に察知することが可能となると考えます。そのため、日常の分離数から考えて何件以上が分離されたらアウトブレイクを疑い、患者情報を調査するかといった対応の基準をあらかじめ決めておいた方がよいかと考えます。しかし、検体培養が提出されていない場合は、このようなチェックは困難となります。現場のラウンドなどを通して、感染症の症状を呈した患者がいないかなどの情報を収集することも重要となります。耐性菌のアウトブレイク終息判断は病原体検出率(検出数)が通常レベルに戻った時点とすることができます。
<参考文献>
1.一般社団法人日本環境感染学会 多剤耐性グラム陰性菌感染制御のためのポジションペーパー第2版,2017.
2.厚生労働省医政局指導課長通知 医政地発1219第1号 平成26年12月19日 「医療機関における院内感染対策について」
3.国公立大学病院附属病院感染対策協議会編:病院感染対策ガイドライン改訂第2版,じほう,2015,p193-199.
4.坂本史衣著:感染予防のためのサーベイランスQ&A,日本看護協会出版会,2010,p33.
 

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